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喫茶店、店員さん達 ページ11

目の前には扉。ごくりと唾を飲み込み開いてみればカラコロと心地よい音が店内に響く。

喫茶ポアロ、かのアガサ・クリスティが生み出した探偵、エルキュール・ポアロから名前を取ったというその喫茶店で恋人が働いていた。

恋人と言っても最近付き合ったばかりだし正直なところ私は彼を好きな訳では無い。形だけの恋人。ちなみに、その一応な恋人とは告白の時からお互いに仕事が忙しくて軽く連絡を取り合ってる程度だった。

閑話休題。いらっしゃいませという声にそちらを向けば女の店員さんが笑顔で出迎えてくれた。安室さんのシフトが入ってない時を狙って来たため彼の姿はない。その代わりにコナンくんがカウンター席でオレンジジュースを飲んでいた。

「こんにちは、三浦刑事」

「どうも、コナンくん。あ、コーヒー1つお願いします」

「かしこまりました」

コナンくんの隣に座り煙草に火を付けようとしたが子供の前なので思い直してやめる。手持ち無沙汰に店内を見回しているとコナンくんが

「今日は安室さんいないよ」

いやいやいや、なんでそうなるの。
刑事達の間で話題になってたからちょっと来てみただけだし、わざわざ安室さんがいない時を見計らってきたのよ。そう言うとなーんだ、とつまらなそうに顔をそむけた。

「てっきり恋人に会いに来たのかなって」

おい、ちょっと待て。

「どうして君がそれを知っているのよ」

「えっ!?あなたが安室さんの彼女さん!?」

突然小さく声を上げた女性店員さん。口元に手を当てて顔をほんのりと上気させている。

「まぁ…そうだけど…」

小さく肯定するとわぁ〜と私の顔を見て歓声を上げている。私の顔がどうかしたのかな?

「安室さんの言っていた通りの美人さんですね!」

そう言って私の手を取って目を輝かせていた。何この子、可愛い…。あと安室さんは私のことをそんな風に言っていたのね。ちょっと意外。

「私、榎本梓って言います!」

「三浦Aよ、梓ちゃんって呼んでも?」

「もちろんです!」

そっと手を握り返すとその笑顔をまた綻ばせた。

「あっ!すみません!コーヒーがまだでしたね、少々お待ちください」

そう言って仕事に戻る梓ちゃん、いつかオフであってみたいな。なんて思いながら梓ちゃんがコーヒーを入れる姿を見つめた。

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作者名:珠々菜 | 作成日時:2018年9月3日 22時

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