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1.推しと先輩 ページ1

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今日も今日とて、私の推しはキラッキラに輝いていらっしゃる。推しといってもアイドルなどではなく、言ってしまえばただの会社の先輩なのだが。
それでも、ニコニコしながらも真剣に仕事に打ち込むその姿は、世界中の誰よりもかっこいい。


「まーた礼王見てんの?」
「うるさいですよ。推しが同じ会社にいたら当然でしょ」
「ふーん」


生意気、だなんて小言を零しながら隣のデスクにどっかりと腰掛けたのは、池亀樹音先輩。私の推しである礼王先輩とは大学時代から仲が良いらしく、関係ないことでも何かにつけて絡んでくる。そんな、少々厄介なお方である。


「もう休憩ですか?」
「うん。そんな重要じゃなかったし」
「ふーん」
「そっちが話振ったくせに」
「先輩もよくやんじゃん」


お返しのつもりで冷たくあしらってみると、いつもより早く引き下がったから驚いた。

目線をあげると推しがすぐそこまで迫ってきていたものだから、そんな暇もなかったのだけれど。
慌てて前髪を整えてから、精一杯の笑顔をつくる。


「礼王先輩、お疲れ様です!」
「お!高木ちゃんもお疲れ様」


先輩の方から来てくれたのが嬉しすぎて、きっと今はとんでもなく緩んだ顔を晒しているだろう。
ああどうか見ないでくれ、推しを目の前にしたオタクなんてみんなこんなもんなのだ。むしろ人語を話せている時点で褒めてもらいたい。


「もうお仕事終わりですか?」
「うん、そっちも?良かったら高木ちゃんも一緒に飲み行かない?」


仕事終わりにわざわざ声をかけるだけでなくご飯にまで誘ってくれるなんて。
感激のあまり「えっいいんですか!?」だなんて言葉を口走りそうになったが、池亀先輩のせいというかおかげというか、それは免れることとなった。


「高木?まだやる事あんでしょ?」
「ぐぬぬ……」


余計なことを、と彼を睨みつけてみるも、業務が残っているという事実が覆るはずもない。


「そうなの?終わるまで待ってるよ」
「……え、好き…」
「え?」


お母さんお父さん、ついでに近所のワンちゃんも今までありがとう。今日が私の命日かもしれません。
今日も、私の推しが優しすぎる。


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- 初めてコメントさせていただきます!塩です!枕野れいさんの小説好きすぎて普段コメントなんてしたことないのに思わずしてしまいました、、、笑 枕野れいさんの書く樹音さいっこうにどタイプです!!これからも頑張ってください!陰ながら応援しています♡ (12月17日 2時) (レス) id: 99215fcdd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枕野れい | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ruki/  
作成日時:2023年2月4日 18時

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