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4.推しと認知 ページ4

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「昨晩は楽しめた?」
「うわ、そういうのやめてくれません?圧倒的解釈違いなんだけど」


翌日の朝っぱらからニヤニヤと揶揄ってくるのは、もちろん池亀樹音という性悪男だ。彼の意図を察して仕方なくそう返してやると、オタク用語分かんないってば、なんて笑いながら仕事に戻る。


「いやいいんですよ隠さなくても。好きなアーティストのグッズとかめっちゃあるの知ってるし、ライブめっちゃ通ってんのも」
「……また礼王が余計なこと言ったわけ?」
「礼王先輩確定なのおもしろ」


そう自分も笑いながらデスクに座ると、隅に置かれている缶コーヒーに貼り付けられた付箋の、珍妙なキャラクターと目が合った。


「へ、何ですかこれ」
「さっき上村くんが置いてったよ」


別の先輩の口から"かみむら"の四文字を聞いた瞬間コーヒーが手から滑り落ちそうになったのだが、慌てて握り直す。

あの礼王先輩が、私のために?いやそんな自惚れはやめよう。でもこの文面を見たら、どうしたってニヤついてしまう。

──"昨日はありがとう。また高木ちゃんも誘っていい? 礼王"


「そんな嬉しい?」
「これはもう認知ってことですか?オタクとして成功してません?同担拒否の方に殺されない?」
「まず俺の質問に答えなよ」


オタク特有早口での質問攻めに、池亀先輩は顔を顰める。今日は機嫌がいい日だと思ったのだが気のせいだったらしい。


「付箋サイズの額縁ってありますかね」
「飾るとか言わないよね?」
「永久保存でしょ。子孫に受け継ぎます」


渾身の真顔を見た先輩が、オフィス中に響く程のでっかいため息をつく。彼に呆れられるのなんてもはや慣れすぎて日常茶飯事なので、今更何とも思わないけれど。


「ミルク取ってきます」
「ブラック飲めないの?」
「飲めなくはないけどミルクあった方が好き」
「ふーん……」


何かを真面目な顔で考え込んだと思えば、今度はニヤリと笑ってこちらを向く。
待て、その二面相は嫌な予感しかしない。大体、池亀先輩がニヤニヤする時なんてろくな事が起こらないのだ。


「俺が飲んであげるね♡」
「はあ!?あ、ちょまっ……!」


なんて豪快な飲みっぷりだろうか。プルタブを開ける音がしたと思えばもうその缶に中身はほぼ残されていない。


「ふざっけんなあああ!」


叫んだ瞬間、いつもは温厚な上司の雷が落ちた。


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- 初めてコメントさせていただきます!塩です!枕野れいさんの小説好きすぎて普段コメントなんてしたことないのに思わずしてしまいました、、、笑 枕野れいさんの書く樹音さいっこうにどタイプです!!これからも頑張ってください!陰ながら応援しています♡ (12月17日 2時) (レス) id: 99215fcdd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枕野れい | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ruki/  
作成日時:2023年2月4日 18時

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