*ﾟ*金魚花火15*ﾟ* (ページ9)

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ピコン♪と鳴った音に目が覚めて

手探り、枕元に置いてあるはずの携帯に手を伸ばす。

学校の友人から、レポートのことで質問があるというメッセージを読んでいたら

ゴロン……と隣で寝返りを打つ気配がした。

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智「おはよう」

A「おはようございます…」

智「今、何時？」

A「11時過ぎ……もうすぐお昼だね……」

智「マジか……よく寝てたなー……」

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まだ眠そうに、目を閉じる智さん。昨日も帰りが遅かった。

龍村組から抜けて、あの世界から抜けて。持ち前の知識と技術を生かして、病院にでも務めるのだろうかと思っていたけれど

智さんは意外なことに、普通に民間企業に就職した。

つい最近、研修が終了して今は職場で実際に働き出したところで、かなり仕事は忙しいらしかった。

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A「無理してない？やっぱり医療関係の方が良かったんじゃ…」

智「でも俺、知られちゃってんだよね。結構、こっちの世界でも……闇医者の大野智の名前って有名でさ？

まともに働こうと思ったら、ちょっと厄介なレッテルなんだよな、これが」

A「………」

智「……大丈夫だよ、心配しないで？」

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ぎゅっと引き寄せられて、頭の後ろを優しく撫でる手は

大事だよ、大切だよって………言葉よりずっと雄弁で

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智「こんな可愛い新妻がいるんだから、俺だって無茶はしないよ。

Aちゃんを悲しませたくはないからね」

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３か月前、龍村の屋敷から出て。もうそれ以来、連絡を取っていない彼らも知らないだろうし

大学の友人たちにもまだ黙ってることだったけれど

私と智さんは、結婚した。式は挙げなかったけれど、籍を入れた。

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智「ありがとうね、俺は幸せだ」

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私も幸せ、と返そうとしたのに

智さんは待てなかったようにキスをした。

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