*ﾟ*金魚花火15*ﾟ* (ページ19)

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【４２９】side M ページ19

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妻を愛している俺を、紫穂さんを顧みなかった副組長が「弱い」と思っていたことを、俺は知っている。

頂点に立つには、弱いのだと。俺では組長にはなれない。そう考えて、早々に俺を次期組長候補から外していたことを。

一理あると思った。組のことを一番に考えられない俺では、その地位に相応しくはない。

だけど……愛することの尊さを知って捨てることと、尊さを無視して捨てることとではまた意味が違う。

今までの“強さ”とは。大事な存在を無視して、龍村を一番に考えることだった。

俺が“弱い”のは。大事な存在を知って、龍村を一番に考えられないからで

そして和也の“強さ”とは。大事な存在を知って認めた上で、龍村を一番に考えて捨てたことだ。

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無視されていた紫穂さんは、醜い嫉妬の渦に巻き込まれていったけれど

認められたお嬢は、悲しそうに、だけど晴れやかに去っていった。

無視して捨てた翔さんと、認めて捨てた和也とじゃ

どちらがより苦しかったのかなんて、明らかで。その苦しみこそが“弱さ”なんだとしても

俺は、和也を誰より強い男だと確信した。

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今も健在のその弱さが、自身の首を絞めることになったとしても

受け入れられるんだ、この男は。

魅了されずにいられるだろうか？見てるだけでいいなんて、言い続けられるだろうか？

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潤「お前が、俺の主君だよ」

和也「そんな台詞言って決まるのって、本当に潤くんぐらいだよね。

何、唐突に。どうしたの」

潤「右腕なんて言ってもらえて、光栄だって話」

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裏社会から足を洗った智、敵になった雅紀、揺れている翔さん

だけど俺は、この男を支えよう。

志摩子お嬢様との約束のせい？……始まりは、そうだったかもしれないが

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潤「誓ってやるよ。俺の忠誠はお前のものだ」

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俺が、お前を支持するのは。俺が、お前に惹かれたから。

それ以外の理由なんてない。

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和也「悪魔の誓いなんて、怖いんだけど？(笑)」

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赤い悪魔。と俺が呼ばれることを受けて、和也はそんな冗談で返した。

暗い水の中を眺めるだけでなく今、錦冠の空で俺は生きている。

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