*ﾟ*金魚花火15*ﾟ* (ページ16)

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【４２６】side N ページ16

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―――元・龍村組1番隊隊長。“順風耳”こと相葉雅紀が再び姿を現したという話は

裏社会において瞬く間に広まった。

彼の恐ろしさを知る人間はそれだけで震えあがったものだが

実際のところ、さらに人々を恐れさせたのは、彼が選んだ“復帰”の方法だ。

裏社会から一時的に行方をくらませた彼は、とある小さな組を壊滅させるという形で復帰を遂げた。

確かに、小さな組だった。だがその組は、彼の古巣である龍村組傘下に入っていた組であり

即ち彼は、龍村組に対して完全に翻意したことを敢えて大々的に表明したのだ。

そのうえで、彼は

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雅紀『もし、頂点に立つことが望みなのであれば

俺が力を貸して差し上げましょうか？』

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そんな甘言を放ち、叩いた門はあろうことか

近年、龍村や尾張さえ、その地位を脅かされていると専らの評判の勢力

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雅紀『鳴上組に最強の称号をお約束しましょう』

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恭順の意を示した彼のことを、鳴上組は大変気に召したらしく

雅紀には早速、幹部の席が用意されたという。

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その後、鳴上組は彼から得た情報を基に、本格的に裏社会の覇権をめぐる抗争へと突入していく。

次々に籠絡されていく組の数々。そして、龍村組もまた例外ではなく

内情を知り尽くした雅紀の策により、鳴上組への苦戦を強いられることとなる。

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潤「また一つ、同盟関係にあった組織が鳴上に潰された」

和也「そう…」

潤「もう一つ、気になることがある。最近、また龍村組からの離反者が増えている。

三長老がお前を認め、お嬢がお前を正式に組長に任命したことで、お前に対する不満は収まっていたはずだったんだが……」

和也「雅紀が、引き抜いてる？」

潤「そう考えるのが自然だと思う」

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俺の障壁になる、と宣言したとおり。どうやら本気で雅紀は俺を潰しにかかっているようだった。

その真意は分からない。そこまで俺が憎いか。……憎い、だろうな。

だけど、だからといってここまでするヤツだろうかと疑問を抱いているのも、確かだった。

俺は。雅紀のことが憎くはなかったから。

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煙草に火を点ける。

ふう……と煙を吐けば、少しはもやもやが晴れる気もしたけれど

気のせいだったかもしれない。

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