*ﾟ*金魚花火15*ﾟ* (ページ2)

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【４１２】side M ページ2

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「そういえば、あの話はどうなったの？」

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急に声を小さくして。彼女はひそひそと俺に尋ねる。

周りに人がいないか気にするような仕草で、何の話なのかは俺も大体察しがついた。

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潤「難航してるよ」

「やっぱり……」

潤「そういう人だからね、仕方ないと言えば仕方ないんだけど……だからってあの人の代わりが務まるような人もいない。

組長も反対してるし、まず要求が通ることはないとは思うんだけどね……」

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それは、“千虎”―――我らが龍村組副組長のことだった。

自分の妻が仕出かしたことへの責任を取りたい、というのと

それともう一つは、自分の体力の限界を感じているということから

彼は副組長の地位を辞し、隠居したいと和也に申し出たのだ。

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「ここを辞めたとしたら、また教師に復職するつもりなのかしら？」

潤「その可能性もあるだろうな。副組長の発言の意図は、紫穂さんの望みを叶えてやりたいってことだとも受け取れる」

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危ない世界から足を洗って、普通の夫婦として生きる。ずっと紫穂さんが夢見てきたこと。

虎穴に入る。と言い切った彼女を見て、副組長が何を感じたのか。

彼は、とりあえす烈に負わされた傷が回復するまでという期限付きで、あくまでも一時的な休暇という形で屋敷から出ていくことを許可された。

紫穂さんが傍で看病しながら、紫穂さんの家で―――否、２人の家で暮らしている。

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「なんだか少し寂しいわね。Aさんと智さんがここを去られて、副組長さんもそんな感じだし。

それに……どこに行ってしまったのかしらね、相葉さんは」

潤「………」

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もう一人、屋敷から姿を消した男。雅紀のことを、組長は引き留めなかったらしい。

その決断に対しては、組の中でも賛否両論だ。寛大な処置、器が大きいと褒めたたえる声もあれば

危険因子を野放しにしたと眉をひそめる者もいる。

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「そんな顔させたかったわけじゃないの、ごめん」

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唐突に謝る妻に、少しだけ申し訳なく思う。彼女が悪いわけじゃない。

ただ、今の俺はすこぶる機嫌が悪いというか……拗ねてる顔をしたんだと思う。

自覚してる。

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潤「あいつ、俺に何の相談もせず出ていきやがった」

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