*ﾟ*金魚花火15*ﾟ* (ページ1)

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【４１１】side M ページ1

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まるで何事もなかったかのように、毎日が平穏に過ぎていく。

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「松本隊長、お疲れ様です」

潤「お疲れ」

「あの、今週末あたり、花見でも開きませんか」

潤「いいね。企画、任せるよ」

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屋敷の庭にある桜の大木にも、春を告げる花が咲いている。

先日の雨で少し散ってしまってはいるが、まだ大丈夫だろう。

俺に一礼してから楽しそうに駆けていく隊員たちの姿を見ながら、俺も楽しみになってちょっと笑った。

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「潤？」

潤「……なんだ、お前か」

「なんだとはなんだ(笑)」

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ひょこっと顔を見せたのは、この屋敷の女中を取り仕切る女中頭である、俺の妻だった。

「楽しそうな相談事が聞こえて」と言う彼女も、花見が楽しみな様子だった。

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「料理、頑張らなきゃね」

潤「酒も忘れずにね？」

「任せといて」

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彼女が笑ったそのとき、赤子の大きな泣き声が聞こえてきた。

屋敷の離れに暮らす母親と息子。まだ生まれて間もない息子は、これでもかというほど存在を主張している。

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「龍成くん、今日も元気みたいね」

潤「みたいだな…」

「文乃さんが嘆いてたわ。すぐにお腹が空くみたいで、このままじゃ胸が萎んじゃいそうって(笑)」

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母親の方には、相変わらず冷ややかな目を向ける者も少なくないと聞くが

彼女が無事に出産を終えたこと。その後、子供のことを可愛がっていることから

徐々にではあるが、あからさまに敵意を向けるような者もいなくなってきている。

特に反発の強かった屋敷の女たちも、文乃さんに……というよりは、子供の愛らしさに骨抜きにされているようで

子育てにはまあまあ協力的だという話だった。

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