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夜が産み落とした純粋な暗闇の中から、のっぺりとした仮面が浮かび上がった。一切の感情が夜で溺死した顔を持つ、その灰色の肉塊は僕の眷属であり、僕の本体。此奴を見れば大抵の奴は逃げ出していく。玄関先で鍵を開けようとするAちゃんを捕まえる頃には、僕の恋路を邪魔する化け物は居なくなっていた。
彼女の温かな口内に指を捩じ込み、背後から抱え上げる。手足をバタつかせ無意味な抵抗に勤しむ彼女にちょっぴり、ほんの少しだけ、意地悪をしたくなり試しに腹に回した触手を締め上げてみると直ぐにAちゃんの意識は夜に溶けた。捩じ込んだ指を引き抜き朧月に見せつけると、てらてらと光る指からぽたりと唾液が垂れ袋を濡らす。大口を開けご馳走を待つそいつにAちゃんを仕舞い込み、いい子に眠る彼女を起こさないようそっと持ち上げた。普段なら袋に中身が入っていようと遠慮なく街中を引き摺り回していたが、今日だけは違う。幸せがいっぱいに詰まった曇天色の袋が、きらきらと彗星を纏い輝いて見えた。
彼女を薄汚れた廃工場まで運び、工場の出口から少し離れたコンテナへ寝かせる。敢えて鍵はかけず、目を覚ましたAちゃんがいつでも脱出できるようにした。ただ手元に置いておくだけでは物足りない。シャオちゃんでさえ切ることが叶わない赤い糸を結んでおきたい。山の神様のグルちゃんにだって、隣街のムカデ野郎にだって、異界の浅縹にだって、渡さない。
「僕はよまわりさん、ただの噂話から生まれたただのお化け。神様にはどうやったって敵わん存在やから、いつかAちゃんを取られてまうんやないかって心配で堪らんのんよ」
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ゆずは - コメント失礼します。ヤンデレにはまった時期があり実は少しずつ、小説を見させていただきました。返信、遅くなってしまいましたが、Twitterの方でも頑張ってください。これからも、応援させてもらいます。 (2022年3月14日 19時) (
レス) @page42 id: 083d316892 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 今までひっそりと応援させていただきました。ありがとうございました。貴女のこれからに溢れんばかりの幸があらんことを。 (2022年3月13日 1時) (レス) id: 022985fa21 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - レス機能が休暇中なのでお一人お一人にお礼を申し上げることは出来かねますが、いつも暖かなコメントをありがとうございます。私は幸せ者です、この棺の箱庭の蓋は閉じてしまいますが、ひっそりと文字書きは続けていきますので、よろしければこれからもお付き合い下さい (2022年3月12日 4時) (レス) id: 1fa7f4b5d2 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(ひよどり)(プロフ) - お疲れ様に御座います。貴殿に幸あらんことを。徒然たる貴殿が真に誠に美しい。 (2022年3月12日 1時) (レス) id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
塩酸(プロフ) - この界隈の小説の作者様の中で1番大好きです。普段から素敵な作品をありがとうございます。 (2022年3月1日 21時) (レス) id: 5d3824b2a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2021年9月4日 23時
