#2 ページ9
［青］
深夜に出歩く子供を捕まえて保護する、それが僕の仕事。この街の奴らには「よまわりさん」なんて呼ばれとる。保護した子は帰れたり帰れなかったり、僕の気分次第やな。
何時もなら引きずって歩くはずの袋は中身が傷つかない様に大切に抱えている。仕事を増やす重いだけの袋なんて引きずるのが丁度ええやろ、でもこれは別。この重さは幸せの重さ、雑に扱うなんてもっての他。
街外れの廃工場に着きAちゃんを袋から出してあげた。Aちゃんは絶対夜に出歩かない、姉が出すわけがない。両親は他界してしまった為、Aちゃんを失いたくないという心情故の行動。まぁ、そんな邪魔な姉は今頃夜の者達に美味しく頂かれていることだろう。あ、物理的にな。人間なんか食物にしか見てへん奴らが大抵やし。
「Aちゃん、起きよか。」
体を僕に預けているAちゃんの背中を優しく叩いて囁く。彼女は日本人らしい黒曜石の様な瞳で僕を捉えた瞬間、僕の胸を押した。離れて、と全力で抵抗する彼女だが人間の力なんて赤子同然やし、こんなかわええ子、話すわけないやん。
「おはよぉAちゃん。逃げても此処からは出れんよ、出口には鍵がかかっとるしAちゃんの身長で届く窓は全部開かんようにしといた。万が一此処から出れたとしても、帰り道なんか分からんやろ。」
宥める様に頭を撫ででやるとAちゃんは目に涙を溜めた。流れ落ちる滴は
「ええ子、泣き止んでくれたんやね。此処は街外れの廃工場なんよ、何やったかなぁ…缶詰工場かなんかやったと思うけど…ま、ええか。」
Aちゃんは放心してしまった様だ。今日は色々ありすぎたもんな、疲れてても可笑しく無い。
「今日はもう寝ようか。あのまま寝かしといても良かったけど、流石に起きた時怖いかなって。Aちゃんの為にお部屋も用意しといたんよ、気に入ってくれると嬉しいわ。」
目がとろんとし始めたAちゃんを姫抱きして部屋へ向かった。彼女をベッドに寝かせ、音を立てず部屋を出る。欲しいものがやっと手に入った、長い道のりやったなぁ…これからずっと可愛がったるから、僕と一緒に居ってね、Aちゃん。
弾んだ手つきで、外からしか開かない鍵を3つかけた。
*ミイミイーさんリクエスト
リクありがとうございます！
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にあ - 待ってコメ欄に大好きな作者様がいるんだけど…いつも楽しく読ませて頂いてます作品更新頑張って下さい誠さんみそ漬けキュウリで殴るさん（限界オタク） (2022年2月26日 14時) (
レス) @page26 id: c982b0a7d0 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - あれ、もしかして40ページのtnと夢主ちゃんが住んでる家が高層マンションなのって逃げ出さないようにする為だったり…？誠さんのお話表現とかが美しすぎて本当に好きです… (2022年2月22日 7時) (レス) @page40 id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - 紫紅兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです… (2020年12月26日 18時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
紫紅兎(プロフ) - 虫のeさんのお話がｯｯ好きすぎて…！！毎日朝昼晩と読ませていただいております…呪いをモチーフにしつつ…儚さもあり…誠さん天才か何かですか…まって尊いがすぎますよ…更新楽しみにしております…誠さんのペースで頑張って下さい (2020年12月26日 11時) (レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
( ・∇・) - ページ40のお鍋が冷めるシーンが人の恋を表している感じがしてとても面白かったです！ (2020年11月15日 10時) (レス) id: fdab07ad69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月17日 18時
