［茶］蝶とLi2CO3 ページ47
#脳溶け状態で元旦に書きました。だから申し訳程度の着物要素
ふわふわと意識を宙で遊ばせる彼女の膝裏に腕を差し込み抱き上げると、しゃらりと軽やかな金属音が奏でられた。彼女の薄い栗色の髪には青い蝶の髪飾りが付けられており、垂簪の為装飾同士がぶつかるのだ。
そのまま寝室まで運び、着崩れないよう少しキツく締めた帯を緩めていく。衣服を脱がされているというのに、彼女は相変わらずぽわぽわと微睡んでいる様だ。そんな貴方も好きです、の意味を込めて彼女と自分の指を絡ませてキスを落とした。彼女の手は些か震えているような気がしたが、仕方が無い。
「少し薬が多かったようですね…気分は悪くありませんか？戻しそうでは無いですか？喉は乾いていませんか？いいえ、愚問でした。まずお水を飲みましょうね」
サイドテーブルに置いてあるペットボトルの中身を口に含み、彼女に口付けて口内へ流し込んだ。まだ上手く嚥下出来ず口の端から溢れてしまった雫を舌で拭い、また彼女へキスをプレゼントする。最初は嫌がっていたこの行為も、今ではすっかり受け入れる彼女の姿に愛おしさが溢れ、気が済むまで口付けを落とし続けてしまった。
「上手に飲めていい子ですね。全身が倦怠感に包まれてさぞ辛い事でしょう、このままAさんがずっといい子にしていたら治して差し上げますよ。Aさんはこの部屋で私だけを見て、感じて、愛して、好きと言うだけでいいんです」
エーミール、と小さく零した彼女の頭を撫でて、ペットボトルの横に置いておいた瓶の中から薬を一錠取り出す。気分安定剤の一種である、炭酸リチウム。こんな小さな錠剤で彼女の中枢神経を侵す事が出来るなんて、便利な世の中になったものだ。
炭酸リチウムの過剰摂取によりAさんは軽いリチウム中毒の症状が出ている。手足が震え、意識が薄れ、まるで夢の世界の中に居るようなぼんやりとした感覚に襲われるという。私の補助無しでは何も出来なくなってしまった彼女は本当に愛らしい。
「ずっと、ずっと永遠に、私だけの蝶で居て下さいね。籠の中で一生可愛がって差し上げます」
そして毒が回りきったら羽をもいで、籠からの出方を忘れさせて仕舞えばいい。Aさんが堕ちて下さるまで、私はいつまでも待っています。
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にあ - 待ってコメ欄に大好きな作者様がいるんだけど…いつも楽しく読ませて頂いてます作品更新頑張って下さい誠さんみそ漬けキュウリで殴るさん（限界オタク） (2022年2月26日 14時) (
レス) @page26 id: c982b0a7d0 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - あれ、もしかして40ページのtnと夢主ちゃんが住んでる家が高層マンションなのって逃げ出さないようにする為だったり…？誠さんのお話表現とかが美しすぎて本当に好きです… (2022年2月22日 7時) (レス) @page40 id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - 紫紅兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです… (2020年12月26日 18時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
紫紅兎(プロフ) - 虫のeさんのお話がｯｯ好きすぎて…！！毎日朝昼晩と読ませていただいております…呪いをモチーフにしつつ…儚さもあり…誠さん天才か何かですか…まって尊いがすぎますよ…更新楽しみにしております…誠さんのペースで頑張って下さい (2020年12月26日 11時) (レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
( ・∇・) - ページ40のお鍋が冷めるシーンが人の恋を表している感じがしてとても面白かったです！ (2020年11月15日 10時) (レス) id: fdab07ad69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月17日 18時
