［赤］全て施設の内側で ページ46
#“INSIDE”パロ
tn氏の実況を元にしております…見て下さい(布教)
灰色と青鈍色で構成された世界で、Aと2人、在るかも分からない出口を探していた。自身の手より2回りほど小さい彼女の手を片時も離さず握り締め、Aの歩幅に合わせゆっくりと歩く。
「トンちゃん…本当に出口、あるのかな…私達、このまま此処から出られなかったらどうしよう…」
施設内の地下にある、得体の知れない液体の湖から2人で脱出した時、彼女がふと溢した。数々の困難見舞われたAの精神はもうズタボロだったらしい、今まで積もりに積もった不安が溢れ出している。はらはらと落涙する彼女を抱き締め、安心させる様に頭を撫でてやった。
「ここまでよう頑張ったなぁ、休憩しよか。ええんやで、Aはずっと頑張ってきたもんな、俺は分かっとるよ。大丈夫、泣かんでええよ…怖いなぁ、しんどいなぁ」
えぐえぐと宛ら幼子の如く大粒の涙を零す彼女の姿を見る事が出来るのは、自分だけの特権だ。不安と恐怖が渦巻くこの世界から、怯懦な性格の彼女を救えるのは俺だけ。縋り付く彼女の姿に、一種の支配欲が満たされていく心地を覚える。
「何が怖かったん？水中に居った子供？引き摺り込まれそうで怖かったなぁ。それとも衝撃波か？高い所から飛び降りた事か？よしよし、いっぱい泣いて忘れような」
液体に浸かってしまった事でぐっしょりと濡れてしまったAの髪を梳き、そっと口付けを落とす。そこから額に、頬に、口に。自身の体温を分け与えるように、そして、先程の恐怖を刻み込むように。
「俺が側に居るからな、なんにも怖い事はあらへんで。全部俺に任せてくれればええんよ。もうちょい頑張ろうな」
涕涙を拭いながら立ち上がったAの手を握り、先へ進み始める。俺が側に居るから、一緒に頑張って外に出ような。
…なんて、出すつもりは微塵も無い。施設をぐるぐると廻り続けている事を彼女は知らないのだろう。
此処から出たって幸せなど無い事を自分は知っている。それならば、自身と共に出口という希望を探し続け、施設を巡り続ける方がよっぽど幸せだ。何より、此処でAが縋れるのは俺しか居ない。好いている彼女に頼って貰えるなんて、何て幸せな事だろう！
外になんて出なくて良い。
キュッと、彼女の手に力を込めた。
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にあ - 待ってコメ欄に大好きな作者様がいるんだけど…いつも楽しく読ませて頂いてます作品更新頑張って下さい誠さんみそ漬けキュウリで殴るさん（限界オタク） (2022年2月26日 14時) (
レス) @page26 id: c982b0a7d0 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - あれ、もしかして40ページのtnと夢主ちゃんが住んでる家が高層マンションなのって逃げ出さないようにする為だったり…？誠さんのお話表現とかが美しすぎて本当に好きです… (2022年2月22日 7時) (レス) @page40 id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - 紫紅兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです… (2020年12月26日 18時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
紫紅兎(プロフ) - 虫のeさんのお話がｯｯ好きすぎて…！！毎日朝昼晩と読ませていただいております…呪いをモチーフにしつつ…儚さもあり…誠さん天才か何かですか…まって尊いがすぎますよ…更新楽しみにしております…誠さんのペースで頑張って下さい (2020年12月26日 11時) (レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
( ・∇・) - ページ40のお鍋が冷めるシーンが人の恋を表している感じがしてとても面白かったです！ (2020年11月15日 10時) (レス) id: fdab07ad69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月17日 18時
