［黄］お誕生日乱用権 ページ34
いつも通り満員電車に揺られて、いつも通りの帰り道を通って、いつも通り家に帰った。いつも通りに溢れた日常だったのに、１つだけ違う事。それは、家の電気が付いていた事。お母さんでも来てるのかな…？と玄関を開けた。
部屋に近づくにつれてテレビの音が大きくなっていく。シチューのいい香りも漂ってきて、やっぱりお母さんだと思いほっと胸を撫で下ろした。
「お母さん？来るなら言って…」
お母さんに対する小言を言いながらリビングの扉を開けると、中には見たこともない男性が退屈そうにテレビを見ていた。黄色いオーバーホールに、豚のピンバッジが付いた赤いニット帽を被った栗毛の男性。
「あ、おかえりA！待ちくたびれたんやけど！まぁ仕事やししゃーないな、ほら何しとん隣おいで？」
私を見つけた男性の目はキラキラと輝いて、まるで数年の遠距離恋愛の末再開した恋人のようだ。自分の横をぽんぽんと叩く彼はさも当たり前かの様に此方を見ている。
「あ、貴方誰ですか！？警察呼びますよ！？」
スマホをポケットから取り出し110番通報をする準備をして、彼に向けた。彼はキョトンとして此方を見て笑っている。
「どうしたんドッキリ？もう、Aそういうの好きよなぁ。かわええ彼女さんには、今日は普通に祝って欲しいんやけど！」
一気に距離を詰められて、スマホを取られる。彼の瞳にハマっている黄色の宝石は光を無くし、無言の威圧を感じた。
「なぁA、キスは？将来の旦那様のお誕生日やで。なぁ、A？」
スマホは床に放り投げられ、パキっと音がしたと思ったら画面にヒビが入っていた。しかし彼は気にも留めない様子で私の両手を掴み、じっと私と目線を合わせた。額から汗が流れ落ち、ぽたりと床を濡らした。
「…何で何も言ってくれんのん。俺の事嫌いになったん？最近会えてへんかったもんな…でも酷いわA。ほら、何時もみたいにシャオちゃんって呼んで？」
シャオ…それが彼の名前なんだろうか。シャオちゃん、と溢すと満足そうに口を重ねてきた。まだ、彼氏にだってされた事ないのに。ずっと我慢していた涙が溢れ出し、私の視界に水のレンズを嵌めた。
「んへへ、ずっとずっと愛しとるよ」
割れたスマホの画面に、不審者情報の通知が表示された。
［茶］酸いも甘いも嫉妬も呑み込んで→←［薄水］毒薬？そんな滅相も無い
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にあ - 待ってコメ欄に大好きな作者様がいるんだけど…いつも楽しく読ませて頂いてます作品更新頑張って下さい誠さんみそ漬けキュウリで殴るさん（限界オタク） (2022年2月26日 14時) (
レス) @page26 id: c982b0a7d0 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - あれ、もしかして40ページのtnと夢主ちゃんが住んでる家が高層マンションなのって逃げ出さないようにする為だったり…？誠さんのお話表現とかが美しすぎて本当に好きです… (2022年2月22日 7時) (レス) @page40 id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - 紫紅兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです… (2020年12月26日 18時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
紫紅兎(プロフ) - 虫のeさんのお話がｯｯ好きすぎて…！！毎日朝昼晩と読ませていただいております…呪いをモチーフにしつつ…儚さもあり…誠さん天才か何かですか…まって尊いがすぎますよ…更新楽しみにしております…誠さんのペースで頑張って下さい (2020年12月26日 11時) (レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
( ・∇・) - ページ40のお鍋が冷めるシーンが人の恋を表している感じがしてとても面白かったです！ (2020年11月15日 10時) (レス) id: fdab07ad69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月17日 18時
