［黄］塔の上より地下に隠そう ページ21
［黄］
自分のスニーカーの音だけがヤケに響いて煩い。何故地下室の階段を降りているかというと、最近此処にお姫様を閉じ込めたのだ。本当にお姫様では無いけれど、俺にとってはたった1人のお姫様やもん、大事にしまっとかんとな。
ランプの薄明かりを頼りに彼女のいる部屋を目指した。地下の奥の、その又奥から格子状に灯りが漏れている。部屋と言うのは可笑しいかもな。言ってしまえば牢屋やもん。
「A、様子見にきたで。もうこの生活にも慣れてきたんやない？」
Aは元々グルッペンの行きつけのカフェの店員だった。彼奴を迎えに行ったときに一目惚れして、此処へ連れてきた。彼奴らに言えばAはこの城に歓迎されるだろうし、俺も隠す必要が無いのだがそれは避けたい。だって、こんなにもかわええんやもん、大先生とゾムは手ェ出すだろうし、グルッペンだって彼女の事を好いているに違いない。
「返事は？旦那様が帰ってきたのに返事もできん悪い子だったん？なぁ！」
声が聞けんくてイライラしてしもうた。ガンっと鉄格子を蹴るとAは体を震わせ、ごめんなさいと謝罪をしてくる。俺が聞きたいのはそれや無いのに。
「もっとさ、なんかないん？俺、帰ってきたんやで。」
少し怖がらせてしまったが仕方がない、これも躾の一環なのだ。俺らが幸せになる為の。だから今は頑張ってな。
Aは目に涙を浮かべ困惑していたが、気付いたようでおかえりなさい、と小さく溢す。まぁ及第点やな、許したろ。
「ん、ただいま。Aはええ子やな。もうそろそろ挙式する？なんてな。もうちょっと此処に慣れてからの方がええかなぁ…俺としては今すぐにでも挙げたいんやけど。」
鉄の扉を開けて中に入った。Aの隣、ベッドの上へ座り彼女を抱き寄せた。怖かったなぁ、寂しかったなぁ。
頭を優しく撫でて、いっぱい褒めてあげる。鞭の後は甘くしてやらんとただ嫌われるだけやからな、頑張った子にはご褒美を。
「A、ごめんな、寂しいよな。う〜ん、俺の部屋に移すか…いや、此処におって。彼奴らにだけは見つかりたくないんや。」
ラプンツェルの様に、大切に大切に仕舞い込もう。肩までの俺とお揃いの栗毛も、綺麗なピンクダイヤモンドの瞳も、可愛らしい言葉を紡ぐ口も、全部俺のもんやから。誰にも譲ったらん、俺のお姫様。
「ずっと、愛してる。」
だから早く依存して。
*琥愛さんリクエスト
リクありがとうございます！
余談*Twitter始めました。上から。
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にあ - 待ってコメ欄に大好きな作者様がいるんだけど…いつも楽しく読ませて頂いてます作品更新頑張って下さい誠さんみそ漬けキュウリで殴るさん（限界オタク） (2022年2月26日 14時) (
レス) @page26 id: c982b0a7d0 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - あれ、もしかして40ページのtnと夢主ちゃんが住んでる家が高層マンションなのって逃げ出さないようにする為だったり…？誠さんのお話表現とかが美しすぎて本当に好きです… (2022年2月22日 7時) (レス) @page40 id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - 紫紅兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです… (2020年12月26日 18時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
紫紅兎(プロフ) - 虫のeさんのお話がｯｯ好きすぎて…！！毎日朝昼晩と読ませていただいております…呪いをモチーフにしつつ…儚さもあり…誠さん天才か何かですか…まって尊いがすぎますよ…更新楽しみにしております…誠さんのペースで頑張って下さい (2020年12月26日 11時) (レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
( ・∇・) - ページ40のお鍋が冷めるシーンが人の恋を表している感じがしてとても面白かったです！ (2020年11月15日 10時) (レス) id: fdab07ad69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月17日 18時
