［茶］それは本当にチョコですか？ ページ1
#「世にも奇妙な物語」より「しみ」リスペクト
リハビリ作品
曇天の元、午後3時。友人の葬儀へ行った両親の代わりに、店番を任されてしまった。雨も降りそうな天気だし、どうせお客さんなんて来ないだろう。ただでさえ普段から少ないのに。
カウンターに突っ伏していた顔を上げて凝り固まった肩を解す。此処は祖父の代から続くクリーニング屋。昔はもっと繁盛していたらしいが、この時代、どうしても客足は大手の方へ向いてしまう。
少し離れても問題ないだろうと、奥で依頼されていたコーヒーのしみ抜きをする。ライトを当てて出来を確認。うん、問題なし。1人達成感に浸っていると、聴き慣れた声がカウンターの方から聞こえた。
「おやAさん、こんにちは。ご両親は何処かへ出かけられたのですか？入り口は開いているのに誰の姿も見えなくて心配しましたよ…」
急いで表へ出るとカッターシャツを左手に抱えた、常連の永見さんが立っていた。職業は大学教授らしく、定期的にシャツやベストを此処へ持ってくる。前回彼が此処へ来たのは3日前、何か不備でもあったのだあろうと、永見さんに尋ねる。
「ああ、不備はありませんでしたよ。いつも通り、良い出来でした。それが、お恥ずかしい事に、シャツにチョコレートのしみがついてしまって。落とせそうですか？」
右手で口元を隠し気恥ずかしそうにする永見さんは相変わらず28には見えない。シャツを受け取って、しみの位置を確認した。左胸辺りに焦げ茶色の小さなしみが出来ていた。これくらいなら大丈夫だと永見さんに伝える。
「そうですか、落とせますか！出来たら、いつも通り連絡をお願いしますね。楽しみにしています。」
小さく手を振って、何故か上機嫌で帰っていった永見さん。そんなにこのシャツが大切なのだろうか？広げてみるが、特にブランド品なわけでも無さそうだ。いつも彼が着ている、普通のカッターシャツ。
また奥へ戻って、専用の薬品を付け、父に教えてもらった通りしみ抜きをする。チョコレートを落とすなんて、完璧そうに見える永見さんもドジを踏むことがあるんだ。新しい一面を知れて、少し嬉しかった。
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にあ - 待ってコメ欄に大好きな作者様がいるんだけど…いつも楽しく読ませて頂いてます作品更新頑張って下さい誠さんみそ漬けキュウリで殴るさん（限界オタク） (2022年2月26日 14時) (
レス) @page26 id: c982b0a7d0 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - あれ、もしかして40ページのtnと夢主ちゃんが住んでる家が高層マンションなのって逃げ出さないようにする為だったり…？誠さんのお話表現とかが美しすぎて本当に好きです… (2022年2月22日 7時) (レス) @page40 id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - 紫紅兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです… (2020年12月26日 18時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
紫紅兎(プロフ) - 虫のeさんのお話がｯｯ好きすぎて…！！毎日朝昼晩と読ませていただいております…呪いをモチーフにしつつ…儚さもあり…誠さん天才か何かですか…まって尊いがすぎますよ…更新楽しみにしております…誠さんのペースで頑張って下さい (2020年12月26日 11時) (レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
( ・∇・) - ページ40のお鍋が冷めるシーンが人の恋を表している感じがしてとても面白かったです！ (2020年11月15日 10時) (レス) id: fdab07ad69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月17日 18時
