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特にする事もなくて、本棚を眺めながらエーミールさんを待つ。殆ど専門書だなぁ…きっと私には理解できないくらい難しいことが書かれているのだろう。いや、学生向けに書かれた筈の教科書だって難しいのに読もうとは思わないけれど。
「お待たせしました。お砂糖は必要ですよね？お茶請けにアップルパイをご用意しました。」
アップルパイって、そんなに簡単に用意できる物だっけ。そう言えば駅前のアップルパイ、食べようと思ってたな…優しく微笑んでいるエーミールさんが何だか怖かった。
紅茶からはほのかに薔薇の香りがした。ローズダージリンかな。紅茶に関する知識は皆無に等しいが、コンビニに売っているペットボトル飲料とは比べ物にならない位良い香りがして、良いものなんだろうと分かる。彼もそう言っていたし。
「角砂糖、いくつ入れますか？」
小さく、3つと返した。高校生なのにお子様だと思われただろうか。別に敵になんと思われようが良い…否、良くない。流石に恥ずかしい。
エーミールさんは気にしていないようだ。彼によって運ばれた角砂糖はティーカップの中でシュワシュワと溶け、スプーンで軽くかき混ぜると無くなってしまった。
小さかった頃は甘い物はそんなに好きでは無かった筈。チョコの甘ったるい感じは苦手だったし、生クリームも得意ではなかった。どちらかというとお煎餅とか、お婆ちゃんじみた物が好きでお父さんに笑われたっけ。いつから、こんなにも甘い物が好きになったのだろう。
「アップルパイ、美味しいですよ。夜食になってしまいますが、小さめなので大丈夫でしょう。」
さっき夜ご飯食べたのに、アップルパイの欲望には勝てなかった。いただきます、と一応挨拶をして、一口サイズに切ったアップルパイを口に運ぶ。…久しぶりに食べた、駅前のアップルパイ。
まさか、とエーミールさんの方を見やるが、彼は特に表情を変えていない。人当たりの良さそうな、悪く言えば絆されてしまいそうな優しげな笑みを浮かべている。
「駅前の、なんていうお店でしたっけ。オスマンさんから聞いたのですが、食べ損ねてしまった様なので買っておいたんですよ。
それと、Aさんが甘い物を好むのは自然な事です。Aさん、砂糖を愛と形容していませんか？所謂、防衛機制反応の代償って所ですね。ああ、倫理は未だ習っていませんよね、すみません」
居心地が悪くて、無意識に部屋に帰ります、と伝えていた。
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ゆう - 幸せなハッピーエンド(?)になって良かったです!! (5月22日 22時) (
レス) @page42 id: f98c154ca8 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - 上から目線失礼致しました (2023年4月27日 23時) (レス) id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - ハッピーエンド感が漂ってますけどなんて言うんやろ深く？見たら意外とバッド？エンドですね！まぁ夢主ちゃんや、d！の人達が幸せなら私は何でも良いですけど。 面白い作品ありがとうございました！ 他の作品も好きです！これからも応援しています。頑張ってください (2023年4月27日 23時) (レス) @page42 id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
杏豆 - とってもおもしろかったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2022年9月3日 11時) (レス) @page43 id: d80eb34582 (このIDを非表示/違反報告)
きつね君。(プロフ) - コメ失礼します。大好物が詰まりに詰まっていて無事昇天することができました!!素敵な作品をありがとうございます!! (2022年8月6日 6時) (レス) @page43 id: f4cd021470 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月22日 21時
