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一瞬、視界が真っ黒に染まった気がした。箱から宝石を取り出そうと震える手でピンクを持ち上げるが、触った瞬間ポロポロと風化した花崗岩の様に崩れ落ちてしまった。隣に黒色が座ったけれど、今は気にも出来ない。
幾つかの欠片を掬い上げて、握りしめた。普通の宝石なら皮膚を貫き鮮血が流れ出すのだろうが、握れば握る程欠片は砂の様に細かく、脆く、形を無くしていく。今この時、私の最後の希望が、存在意義が、欠壊してしまった。
「可哀想に、もう二度と魔法少女には成れないだろう。だが安心して良いゾ、俺らがついているからな。魔法少女に固執する事も、宝石を命と同等に扱う事も、宝石が壊れてしまうのに怯える事も無くなるんだ。ほら、ハッピーエンドじゃないか。」
グルッペンと呼べ、と囁かれ、何も考えず彼の名前を呼んだ。ずっとずっと、頑張ってきたのに。私の努力は、今までの時間は、何だったのか。急に虚無感に苛まれ機能していなかった導涙機能が働き始め、涙が零れ落ちた。押し殺したい声は外へ漏れ、肩が震える。
「嗚呼、泣いて良いからな。此処で涙するのも此れが最後だろう、存分に泣いて今までの事を涙と共に洗い出してしまえ。」
柔らかなハンカチが目元に押し付けられ、そういえばあの子も私が泣いてしまった時はこうして側に居てくれたな、なんて。もうあの子の隣に立つ資格は砕け散ってしまった。諦めが勝ってしまったのか、次第に涙の量は少なくなり乱れた呼吸も正常なものへ戻ってきた。
「落ち着いたか？そのまま楽にして居ろ、流石に堪えただろう。…子守唄代わりに、何故Aが生きているか話しておこうか。実はな、魔法少女が持っている宝石は全て、ウチで開発した物だ。」
グルッペンさんの膝に乗せられ、頭を彼の胸板に預ける。彼の低い声は随分と遠くで発せられている様に聞こえたが、温もりだけは傍にあった。
「絶望と希望の狭間で生まれるエネルギー、それが魔法の原動力になる。希望と言うか、承認欲求のようなものかもしれない。A達魔法少女は、大分自己承認欲求が強かったからな。Aの場合、絶望と希望のバランスが取れなくなってしまい、宝石が割れたんだ。」
絶望…絶望か。トントンさんと居た時、心臓が抉られたように痛んだのは、宝石が割れたからなんだ。でも何で…
「何故生きているか、と思っただろう。実はAが此処へ来た時、宝石から魂だけを取り出しておいた。おっと眠そうだな、後でまた話す、おやすみ」
………。
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ゆう - 幸せなハッピーエンド(?)になって良かったです!! (5月22日 22時) (
レス) @page42 id: f98c154ca8 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - 上から目線失礼致しました (2023年4月27日 23時) (レス) id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - ハッピーエンド感が漂ってますけどなんて言うんやろ深く？見たら意外とバッド？エンドですね！まぁ夢主ちゃんや、d！の人達が幸せなら私は何でも良いですけど。 面白い作品ありがとうございました！ 他の作品も好きです！これからも応援しています。頑張ってください (2023年4月27日 23時) (レス) @page42 id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
杏豆 - とってもおもしろかったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2022年9月3日 11時) (レス) @page43 id: d80eb34582 (このIDを非表示/違反報告)
きつね君。(プロフ) - コメ失礼します。大好物が詰まりに詰まっていて無事昇天することができました!!素敵な作品をありがとうございます!! (2022年8月6日 6時) (レス) @page43 id: f4cd021470 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月22日 21時
