5 ページ6
「はいそこまで〜、Aちゃんは一度お部屋に帰ろうね。折角Aちゃんが来てくれたのに怖がらせたら意味ないから。あ、部屋に乱入した人は掘るから。」
誰かに優しく抱き締められて、ほんのり消毒液の香りがした。知らない人なのになんだか安心できて、涙が少し止まった気がする。
「俺はAちゃんを部屋に連れてくから。さ、行こっか。」
小さく頷くと肩に手を回されて、部屋の外に誘導された。この人が1番まともかもしれない。否、あくまであの人たちの中での話だけれど。
「どうして、私だけ生きてるんですか？皆んなは？どうしてこんな事するんですか？」
自分でもよく言葉が出てきたな、と思う。気付いた時には思っていた事を全て話してしまっていた。
「まぁまぁ、少し落ち着こうね。まず自己紹介からかな。俺はしんぺい神ね、ぺ神で良いから。」
神と書かれた雑面の向こう側の表情は窺えないが、この人…ぺ神さんには不思議な安心感が湧く。いつの間にか元居た部屋の前に着いていて、アンティーク調の可愛らしい扉を開いた。
ベッドに座らされて、ぺ神さんが屈んでくれる。流れる様な手付きで頭を撫でられたが、嫌では無かった。
「じゃあ話そうか。お仲間さんは生き残った子も居れば、Aちゃんが見た通りの子も居る。それで、何でAちゃんは敵本拠地の此処で生きてて、何で俺らがこんな事するのか、だっけ。」
ぺ神さんは立ち上がって、私の隣に腰掛けた。やはり頭に手を置かれ、髪を梳かれる。
「俺らはAちゃんが好きで、愛してて、ずっと一緒に居たいから。Aちゃんにこっちに堕ちて欲しいから、かな。」
頭を鈍器で殴られた様な衝撃が走って、思わずベッドから飛び降りた。出来るだけぺ神さんと距離をとる。
「詳しい事はグルッペンから聞くと思うよ〜。俺が今話せるのは此処まで。後でご飯持ってくるから寝てて良いよ、疲れたでしょ。」
彼は気にする様子もなく私に近付いて、私を抱き上げた。鬱さんといいペ神さんといい、今日はよく抱き上げられるな。
ベッドに横にされ、布団を掛けられる。修学旅行でホテルに泊まった時、ベッドがふわふわで感動したけど、そんなの比にならないくらい寝心地が良くて、睡魔は直ぐ襲ってきた。ぺ神さんはどうやら出て行ったらしい。
意識は直ぐ空に溶けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2217人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう - 幸せなハッピーエンド(?)になって良かったです!! (5月22日 22時) (
レス) @page42 id: f98c154ca8 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - 上から目線失礼致しました (2023年4月27日 23時) (レス) id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - ハッピーエンド感が漂ってますけどなんて言うんやろ深く？見たら意外とバッド？エンドですね！まぁ夢主ちゃんや、d！の人達が幸せなら私は何でも良いですけど。 面白い作品ありがとうございました！ 他の作品も好きです！これからも応援しています。頑張ってください (2023年4月27日 23時) (レス) @page42 id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
杏豆 - とってもおもしろかったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2022年9月3日 11時) (レス) @page43 id: d80eb34582 (このIDを非表示/違反報告)
きつね君。(プロフ) - コメ失礼します。大好物が詰まりに詰まっていて無事昇天することができました!!素敵な作品をありがとうございます!! (2022年8月6日 6時) (レス) @page43 id: f4cd021470 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月22日 21時
