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誰に聞くかは決めた。何となく優しそうな、鬱さん。勿論初対面にも関わらず抱き上げられたことは未だ根に持っているし、あの時の冷たい声も覚えている。決めたというか、消去法かな。

ぺ神さんも確かに優しいが掴みどころが無くて、しかも隙も無さそう。ひとらんさんは穏やかだがなんか嫌…エーミールさんとショッピさんは論外、その他の人は話した事ないし敵リーダーには会いたく無い。

鬱さんからはキツイタバコの香りがしたから、喫煙室とかを見つければ会える可能性は高いだろう。となると、喫煙室がありそうなのは風通しの良い場所か、角部屋。まさか階のど真ん中に作るような事はしないよね。

偶然見つけた階段を降りて、一方向に進んだ。この建物が円状に造られていない限り角部屋は存在する。只管決めた方向に歩いていくと、煙草の匂いがしてきた。お父さんが吸っているから、間違える筈も無い。一番匂いがする扉を、控えめにノックして開ける。

「Aちゃんやん、どないしたんこんな所来て。身体に悪いから早く出てや、迷子なら部屋まで送ったるから。」

「い、いやあの、鬱さんに会いに来たんです。煙草は慣れてますから、此処でお話し、したいなって…」

兎に角怒らせないように、機嫌を損ねないように。あくまで絆されたフリをする。良い子を演じるのは自信があるし、そこらの人は騙される。学校の先生も、クラスメートも。

「へぇ、Aちゃんから来てくれるなんて嬉しいわ。そんなかわええ笑顔貼り付けて何が聞きたいんかなぁ?家への帰り方?此処からの出方?それとも、」

一発でバレた事と、此方へ歩み寄る来る鬱さんが原因で冷や汗が背中を伝った。どうやら、聞く人を間違えてしまったらしい。ショッピお兄ちゃんって言って、ショッピさんから聞き出す方がまだ希望があったかも。

「宝石の在り方、とか?」

顔を耳スレスレまで近付けて、囁かれた。私は何故この人を選んだのだろう。自分の馬鹿さ加減に涙が出そうになるが、グッと堪える。

「だぁいじょうぶ、怒りはせんよ。そうよな、目が覚めたらこんな所に居って、不安よな。よしよし、不安にさせた俺らも悪いわ、そんな泣きそうな顔せんで。」

抱き締められ、頭を調度彼の心臓の上辺りに押しつけられる。とくん、と鼓動が聞こえる度、焦りとか、不安とか、どうでも良くなってくる。

「さ、部屋まで帰ろうな。」

無意識などでは無い。自分の意思で、頷いていた。

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ゆう - 幸せなハッピーエンド(?)になって良かったです!! (5月22日 22時) (レス) @page42 id: f98c154ca8 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - 上から目線失礼致しました (2023年4月27日 23時) (レス) id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - ハッピーエンド感が漂ってますけどなんて言うんやろ深く?見たら意外とバッド?エンドですね!まぁ夢主ちゃんや、d!の人達が幸せなら私は何でも良いですけど。 面白い作品ありがとうございました! 他の作品も好きです!これからも応援しています。頑張ってください (2023年4月27日 23時) (レス) @page42 id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
杏豆 - とってもおもしろかったです!素敵な作品ありがとうございました! (2022年9月3日 11時) (レス) @page43 id: d80eb34582 (このIDを非表示/違反報告)
きつね君。(プロフ) - コメ失礼します。大好物が詰まりに詰まっていて無事昇天することができました!!素敵な作品をありがとうございます!! (2022年8月6日 6時) (レス) @page43 id: f4cd021470 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://around-the-clock  
作成日時:2020年7月22日 21時

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