#2 ページ45
結局今日も組長代理は決まらなかった。疲れ果てたトンを部屋に送り届け、布団に寝かせた。5歳にはしんどかっただろうな。涙の跡を優しく拭い、電気を消して部屋を出た。
自分の部屋に戻ると、どっと疲れがきたようだ。ベッドに倒れるように飛び込む。マンちゃんから貰った抱き枕代わりのウサギの縫いぐるみが跳ねて、ベッドから落ちそうになっていた。寝てはいけない、と分かりつつも、降りてくる瞼には耐え切れなかった。
首が擽ったくて目が覚めた。部屋は暗くて、目が慣れるまでに時間がかかりそうだ。電気つけないと。上半身を起こした瞬間、ベッドに逆戻りした。誰かに両腕を押さえ込まれたようだ。対抗勢力からの刺客かと思い、ひゅ、と息が詰まった。
誰だ、と声を発そうとして口を開けると、温かいもので塞がれた。何かが口内に侵入してきて、舌だと理解するのに時間がかかった。ぬるっとした感覚に耐えれず、涙があふれた。
「なんやA、泣いとんか?
なぁグルッペン電気つけてや。」
「両腕押さえてるのは俺なんだが。
まぁいい、一旦離すからな。」
聴き慣れた声だった。ちょうど聞き取りやすい高さの音と、低いバリトンボイス。対抗してる筈の2人が、何で。
電気のスイッチが動かされた音がした。部屋は明るくなり、眩しくて目をしかめてしまう。そこには、水色と灰色の瞳があった。水色は私の髪を指に巻き付け遊んでおり、灰色に右手の人差し指で首筋から胸元までなぞられる。
学校指定のブラウスは第二ボタンまで開いていた。少しずらせば下着が見えてしまいそうで、顔に熱が集まった。胸元には虫に刺されたような跡が散りばめられており、身震いした。首にもついているのだろう。
「なぁ、A。今日もトンJr.につきっきりだったな。
俺らのことも同じくらい気にかけて欲しいのだが。」
灰色は第3ボタンに手をかけながら、不機嫌そうに此方を見つめてきている。
「Aの1番はいっつもトンJr.やん。
俺らが1番になるためには、これしかないと思ってん。」
いつもの青空のような澄んだ色はどこにもなく、濁った水色と目が合う。
一体、何を言っているのか。
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ロイエ - やばい、同志がここに居た。(本音:ヤンデレ大好き!逆ハー万歳!!)はい。 (2022年1月10日 23時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - マイソさん» 是非しましょう((( (2021年1月24日 14時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
マイソ - あああわかります。じわじわきて捕まる。それが萌えるんじゃぁ…趣味が合いすぎます。結婚して彼らのこといっぱい話しません(( (2021年1月16日 23時) (レス) id: 05f946baf6 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - 地稲さん» きっと美味しいです炭なんて作らないよ(震え声)そう言って頂けて嬉しいです! (2020年8月1日 21時) (レス) id: d6a456411c (このIDを非表示/違反報告)
地稲(プロフ) - 妖精さん妖精さん…。眉毛英国紳士ポジは彼なんですね分かります。いやぁ彼の作る料理は美味しいんだろうなぁ(震え声)共依存は大好物ですありがとうございます。 (2020年8月1日 15時) (レス) id: a7f6c2fae7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:誠 | 作者ホームページ:http://around-the-clock
作成日時:2020年5月25日 3時