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#2*少し注意 ページ32

「あ、ありがとな!えーと、Aよな、さっき教えて貰ったもんな。」

ゾムさんはネバーランドから来たらしい。本当に存在するなんて思わなかった、と溢せば、大抵の人はそうだと頭を乱暴に撫でられた。オスマンとは違う、撫で方。いつもは陶器の様に繊細に扱われているから、この感覚は新鮮だった。

ゾムさんはその後いろいろな話をしてくれた。ネバーランドには人魚がいるのだとか、インディアンとキャンプができるだとか。実はフック船長とは普通に仲がいいらしい。じゃぁなんでフックは右腕がないの?と聞くと、「アイツ船酔いして、ガバって海に落ちたんやで。」と笑いながら返された。

「…なぁ、A。俺な、ウェンディを探しとるんや。
 俺と一緒にネバーランドに来てくれる、可愛い女の子。
 Aさえ良ければ、一緒に来てくれん?」

さっきまで笑っていたゾムさんが急に真剣な顔をするものだから、思わず後ずさってしまった。

それを見たゾムさんはごめん、と私に差し出していた手を下ろそうとするが、その手を掴んでゾムさんに飛び込む。

「私、ゾムさんと一緒に行きたい!お外に出て、誰かと一緒に遊びたい!」

ゾムさんは心底嬉しそうな顔をして、私を離し窓枠に足を乗せた。ペリドットの目に見つめられ、伸びてきた手をとろうとすると、

パンっと、何かが弾ける音が聞こえた。ゾムさんは私の方に倒れてきて、私の白いエプロンドレスが赤く染まっていく。後ろを見ると、銃を構えた、おすま…

「Aちゃん、何しようとしとったん?そいつの手を取って、何処に行こうとしたん?
 Aちゃんは、誰のやっけ?」

額に銃口を当てられ、ひゅっと息が詰まる。言わないと、こんなに怒っているオスマンを見るのは初めてだ。きっと、答えないと引き金を引くのだろう。

「わ、私は、おすまんの、ものです…」

泣きながらではあるが、なんとか最後の質問だけは答えた。彼にとって重要なのは、最後だけだろうから。

「そうめう〜、よく出来ましたAちゃん!」

ギュッと抱きしめられる。息が苦しくて、でも抵抗したらゾムさんも、私も危ない。

満足したのか、オスマンは私から離れて、ゾムさんに銃口を向けた。待って、おすま、やめて!銃口を引っ掴んでゾムさんから逸らす。深緑の冷たい目で睨まれたが、ニコッと笑みを向けられた。

#3→←[深緑]王子様も魔法もいらないから地に足をつけたい



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ロイエ - やばい、同志がここに居た。(本音:ヤンデレ大好き!逆ハー万歳!!)はい。 (2022年1月10日 23時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マイソさん» 是非しましょう((( (2021年1月24日 14時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
マイソ - あああわかります。じわじわきて捕まる。それが萌えるんじゃぁ…趣味が合いすぎます。結婚して彼らのこといっぱい話しません(( (2021年1月16日 23時) (レス) id: 05f946baf6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 地稲さん» きっと美味しいです炭なんて作らないよ(震え声)そう言って頂けて嬉しいです! (2020年8月1日 21時) (レス) id: d6a456411c (このIDを非表示/違反報告)
地稲(プロフ) - 妖精さん妖精さん…。眉毛英国紳士ポジは彼なんですね分かります。いやぁ彼の作る料理は美味しいんだろうなぁ(震え声)共依存は大好物ですありがとうございます。 (2020年8月1日 15時) (レス) id: a7f6c2fae7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://around-the-clock  
作成日時:2020年5月25日 3時

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