［黒］ぼうけんのしょはさいしょからない ページ27
「では勇者Aよ、魔王討伐は頼んだぞ。
其方には期待しておる。強大な力に打ち勝つのじゃ！」
富の証である白い髭を蓄えた国王から、この国に古くから残る、伝説の剣が渡される。深く頭を下げ青く光るそれを受け取り腰に差す。左からずっしりと伝わる重みはこの国の未来のものである。
女王陛下から頂いた、この国の紋章が刻まれている髪飾りをプラチナブロンドの髪にしっかりと留め、腰ほどまでの深紅のマントを綺麗に翻し、城を後にする。
私、Aは勇者として選ばれたのだ。昔から、正義感は人一倍強かった。近所の軍人のお兄さんから剣術を習って、森に住む魔法使いの所へ通い詰め、出来る限りの魔法を習得した。
目指すは魔王城。城下を抜け、毒の霧で覆われる森を通り、砂漠を抜け、氷の大地のその先に、魔界へと繋がる道はある。魔物は定期的に城下へ現れては国民を襲い、拐っていく。噂によれば魔物は人間の血液がご馳走なんだとか。あとは悲鳴が好きとか、稀に見る魔力持ちの人間を粉々に切り刻んで血肉を啜るらしい。結構なご趣味で。
城下を抜け、森に着くとエルフに出会った。全体的に薄い色で、見えにくいが確かに存在する瞳でこちらをじっと見てきた。見る、と言うより観察する、の方が正しいのかもしれない。
魔法で辛うじて息はできるが、長いこと此処にいたくないし、魔力だって消費する。出来れば早く退いて道を開けて欲しいものだ。しかし、エルフを乱雑に扱うことなど出来ない。したら最後、永遠に森から出られずやがて毒が回って死ぬだろう。
エルフが体を横にずらす。道を開けてくれた、有難い。感謝の意を込めてお辞儀をし、顔を上げると、
其処は砂漠の入り口だった。転移魔法！まさか…なかなか地位が高いエルフに気に入られたのか、悪戯心からなのか、森から砂漠まで飛ばされてしまった。否、飛ばしてもらった、と思うことにしよう。こちらとしては嬉しいことだし。
砂漠の流砂に気をつけながら、サンドワームを倒す。ウネウネしたものが嫌いな私にとっては苦痛でしかないが、我慢しよう。少し進むと、オアシスが見えた。砂漠の中に位置する、綺麗な湖である。
「ちょっと休憩しようかな。砂塗れで、喉乾いたしな…」
湖の辺りに膝をついて、水面を覗き込む、綺麗。手で掬ってこくん、と水を嚥下する。あぁ…生き返りますわぁ…
もうちょっと飲もう、と手を水に入れたら、何かに引っ張られたように水の中に引き摺り込まれた。
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ロイエ - やばい、同志がここに居た。(本音:ヤンデレ大好き！逆ハー万歳！！)はい。 (2022年1月10日 23時) (
レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - マイソさん» 是非しましょう((( (2021年1月24日 14時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
マイソ - あああわかります。じわじわきて捕まる。それが萌えるんじゃぁ…趣味が合いすぎます。結婚して彼らのこといっぱい話しません(( (2021年1月16日 23時) (レス) id: 05f946baf6 (このIDを非表示/違反報告)
誠(プロフ) - 地稲さん» きっと美味しいです炭なんて作らないよ(震え声)そう言って頂けて嬉しいです！ (2020年8月1日 21時) (レス) id: d6a456411c (このIDを非表示/違反報告)
地稲(プロフ) - 妖精さん妖精さん…。眉毛英国紳士ポジは彼なんですね分かります。いやぁ彼の作る料理は美味しいんだろうなぁ(震え声)共依存は大好物ですありがとうございます。 (2020年8月1日 15時) (レス) id: a7f6c2fae7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年5月25日 3時
