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#3 ページ3

目が覚めた。
其処は立派な日本邸の一室のようで、自分は布団に寝かされていた。部屋には私の布団しかなくて、多分普段も寝室として使われているのだろう。

私は気を失って、誰かが助けてくれたのか。それとも…
怖くなって考えるのは止めた。ぐるっと部屋を見回すと、枕元に画面がひび割れたスマホが置かれている。その横に、深緑の、

「お、Aちゃん起きたんやな。おはようさん。
 そのイヤホンはプレゼントめう〜、ごめんな、イヤホン壊してもうて。」

いつの間にかあの男の人が立っていた。声は喉に張り付いて出ない。

「それにしても、やっと会えたわ。もう、Aちゃんなかなか良い時間に電車に乗ってくれへんのんやもん。神隠しはな、名前だけじゃ出来ひんのよ。場所とか、時間とか、条件があってな。」

神隠し?この人は、神様なのだろうか。
神様に気に入られるような事などした覚えはない。何処ぞのヒロインのように神社の掃除をした覚えも、熱心に手を合わせた訳でも、血筋も、何も心当たりがない。

「あ、貴方は、誰…ですか。」

ようやく絞り出せた一言がこれだ。小さくて、聞こえなくても不思議じゃないくらい。

「え〜忘れたん?最後に会ったんはAちゃんが4歳の頃やもんな、無理はないか。
 俺はオスマン、Aちゃんの、旦那様めう。」

オスマン、と名乗った男性は、ゆっくりと近づいてきて、抱きしめられた。

「んふ、ようやく手に入れたわ。ずっと、ずっと待っとった。」

綺麗な見た目からは想像もできないほどの強い力で両手首を掴まれ、布団に押し倒された。

「Aちゃん、捕まえた。もう何処にも行かんでな。学校も、友達も、両親も全部忘れて、俺と幸せになろ。安心しいや、怖いことは何一つせんし、Aちゃんのお願いなら何でも聞いたるよ。だから…絶対逃げんでな?」

理解してしまった。この人は本当に神様で、私は神隠しに遭って、

きっともう二度と、この屋敷から出ることは出来ないのだろう。

溢れ出た涙は器用に舌で掬われ、そっと口づけを落とされた。

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ロイエ - やばい、同志がここに居た。(本音:ヤンデレ大好き!逆ハー万歳!!)はい。 (2022年1月10日 23時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マイソさん» 是非しましょう((( (2021年1月24日 14時) (レス) id: b57bb5d927 (このIDを非表示/違反報告)
マイソ - あああわかります。じわじわきて捕まる。それが萌えるんじゃぁ…趣味が合いすぎます。結婚して彼らのこといっぱい話しません(( (2021年1月16日 23時) (レス) id: 05f946baf6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 地稲さん» きっと美味しいです炭なんて作らないよ(震え声)そう言って頂けて嬉しいです! (2020年8月1日 21時) (レス) id: d6a456411c (このIDを非表示/違反報告)
地稲(プロフ) - 妖精さん妖精さん…。眉毛英国紳士ポジは彼なんですね分かります。いやぁ彼の作る料理は美味しいんだろうなぁ(震え声)共依存は大好物ですありがとうございます。 (2020年8月1日 15時) (レス) id: a7f6c2fae7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://around-the-clock  
作成日時:2020年5月25日 3時

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