すれ違う2つの心は

51st Love ページ5

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side...Yusei





「それで、慎がね、」





さっきから果歩さん話を聞いていれば慎さんの名前ばっかり。



それだけで果歩さんにとっての慎さんの存在の大きさを知らされる。









LDHに入社してから気になっていた果歩さんの存在。



EXILE TRIBEの紅一点。



男の中にひとり。



でも、そんなこと感じさせないほどのダンスの力強さ。



曲の雰囲気によって変わる声質や表情。



オーディションの時はただただ尊敬していた。



果歩さんの音域の広さもたまに出てくるがなり声やしゃがれた声、安定したビブラートも。



バラードの儚くて切ない透き通った声。



ポップスのはっきりとした芯のある力強い声。



あんな風になりたい。



男女関係なくて、誰にでも認めてもらえるようなアーティスト。



きっと俺には到底追いつけないような人なんだろうな。



最初はそう思っていた。





でも、入社した途端、そんな果歩さんの印象は一気に崩れ落ちた。



そこら辺の女の子と変わらない。



よく笑ってよく食べる。良い意味で普通の女の子。





それを知った時、一瞬で恋に落ちた。



ボーカルとしてもたくさんお世話になっている。



アドバイスだってたくさんしてくれる。



ご飯のお誘いをしたら笑顔で了解してくれた。



果歩さんのことだってたくさん知れた。



趣味も好きなもの、嫌いなもの、悩み事だって話してくれた。



でも、果歩さんの話の中心はいつだって慎さん。



本人はきっと気付いてないんだろうけど、それだけは最初から今まで一度も変わったことがない。





今日は慎とこんな事があった。慎と喧嘩した。慎とここに行った。





それを聞く度に胸が苦しくなった。



慎さんと話す時、俺の話をしてくれてるのかな。とか少しは意識してくれてるのかな。って毎日考える。



そして結局は自問自答。そんなの有り得るわけがないんだ。





デビューして直ぐ、大樹さんに言われたことがある。





『果歩のこと、好きになるのはいいけど、まこっちゃんと果歩の関係は崩さないでね』





大樹さん、ごめんなさい。



その約束、俺には守れないかもしれません。





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