すれ違う2つの心は

57th Love ページ11

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村崎「果歩ちゃんっ！」



「お久しぶりです」



村崎「あ、そっか。1週間ぶりくらい？」



「ですね。あ、長谷川慎です」



慎「どうも、長谷川です」



村崎「こちらこそ。よろしくお願いします」





ついに来てしまったこの時。



亜嵐さんの時から少し鬱陶しい話し方だと思ってはいたけど、それに増した、いや増し増しくらいの甘えた声で話しかける彼女。



昂秀に連れていかなきゃいいじゃんって言われたけど、プライベート以前に仕事だからそんな我儘言ってられない。





村崎「果歩ちゃんに教えてもらってミュージックビデオとか拝見させていただいたんです！素敵でした」



慎「いや、そんなこと…」



村崎「ありますよ！見入っちゃいましたもん」





相変わらず口がお上手。



慎も嬉しそうだし、既に打ち解けてる2人。





あ〜、そういえば慎ってこうゆう子がタイプだっけ。



村崎さんは私とは違ってまさに女の子って感じ。



整った顔の割に可愛らしい格好で、趣味もちゃんと女の子。





「私、ちょっとお手洗い行ってきますね」



村崎「行ってらっしゃ〜い」





仲良く話してる2人に目眩がして、外の空気を吸いに店の外に出る。



漫画やドラマだったらここで慎が追いかけてきてくれたり、なんてことになるんだろうけど。



そんな夢みたいなことがあるわけでもなく。





戻りたくないな、なんて。



いっその事帰りたいな、なんて。





まぁ言ったって勇気のない私がそんなことできるわけないんだけど。



慎は惑わされないよねって亜嵐さんと話したけど、案外そうでもないかもしれない。



我儘で意地っ張りの割には人に流されやすいし、意味分かんないところで鈍感だし。





まぁ、でも、





「関係ないか」





慎のことを好きでも好きじゃなくても、メンバーの幸せは応援しないといけないから。





それに恋愛がどうたらなんて今すぐに考えなきゃいけないわけでもない。



最近、恋愛の話が多すぎて焦ってるのかもしれない。



勇征くんへの返事の言い訳を作ろうとしてるのかもしれない。





こうなったら2人の話に割り込んで笑ってればいいや。



もう何もかもが投げやりになって立ち上がる。



そろそろ戻ろう。





「あれ、果歩？」





と思ったけど、どうやらそうにも行かないらしい。





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