すれ違う2つの心は

73rd Love ページ28

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side...Makoto





壱馬さんも果歩も出ていっちゃったから必然的に皆の視線は全部俺に向かう。



何があったのか教えてって言われても、自分がイマイチよく分かってなくて。



たださっきまで壱馬さんに掴まれてた手首が凄く痛い。



その痛みはまるで、壱馬さんの怒りを表してるようで心が痛くなった。





樹「まこっちゃん外行こう」





こんな時、手を差し伸べてくれるのは絶対サポメン時代を共に過ごした誰か。





翔平さんも翔吾さんも樹さんも、勿論果歩だってそう。



悩んでる時、苦しんでる時、辛い時はいつだって何も言わずにただ傍に居てくれる。





幼い時から自分の意見をはっきり言うことが出来なくて、翔平さんみたいに周りを笑顔にすることも出来ないし、翔吾さんみたいに誰にでも声をかけて優しくするなんてことも出来ない。



樹さんもいつもは黙ってるけど、自分が違うって思ったらそれをはっきり言える人。



果歩なんて常に突き進んでいく人だから、サポメン時代だっていつも俺は置いてけぼりだった。









皆にはよく言われる。



果歩を支えてるのは慎だ、果歩が頑張れるのは慎のお陰だ、って。





そんなこと全然ない。



サポメンの時だってこの前のアンチの時だって、俺はただ果歩を突き放しただけ。



手を引っ張ってあげてる訳でもないし、背中を押してあげてる訳でもない。



果歩が頑張れてるのは、成長してるのは間違いなく果歩の努力の結晶。





樹「…はぁ、ほら早く」





寄りかかっている机から立ち上がることが出来ないくらい足にも身体にも力が入らない俺を見た樹さんは溜息をついて俺の腕を強引に掴んで、無理矢理に俺を立たせる。



それでもちゃんと掴んだ俺の腕はさっきまで壱馬さんに掴まれてた腕とは逆の方で、それだけで樹さんの優しさを感じられる。





14人居るっていうのに誰も居ないかのように静かな楽屋。



樹さんに着いていくように歩き始めると、背中に突き刺さる視線が痛い。



メンバーがどんな目で自分を見ているのかが怖くなって、誰とも目を合わせられなかった。





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