淡い恋心の行方は

44th Love ページ48

.





『亜嵐くんもっと果歩ちゃんに近付いて。で、果歩ちゃんは亜嵐くんが間詰めたら少し引き下がる感じ』








今日も女優としてカメラの前に立って撮影。



撮影ももうすぐでクランクアップに近付いていて、このカットも終盤の辺り。



いつもは亜嵐さんの絡みをウザがって亜嵐さんをいじるっていうLDHファンの中でも定着しつつある私たちの距離感での絡みも暫くできなくなるのかと思うとやっぱりちょっとだけ寂しい。



これまでの撮影期間中に何度か食事をしている中、EXILEもGENERATIONSも兼任してリーダーもしている亜嵐さんに聞くお話は私にとってすごく刺激的で、楽しかった。



いつもはあんな風に冷たくあしらってるけど、先輩としてはやっぱり尊敬できてお手本となるような人。





『はい！じゃあちょっと休憩入れようかー！』





監督さんの声掛けに、亜嵐さんと2人、一気に肩の力を抜く。





亜嵐「おつかれ」



「お疲れ様です」



亜嵐「もうすぐ撮影も終わりだねー。俺寂しいわ。笑」



「どうせ事務所で会えるじゃないですか」



亜嵐「笑笑どうせって言うな、どうせって………」



「…はい？」





今までヘラヘラと笑っていた亜嵐さんが私の顔を見ていきなり固まったと思ったら、急にニヤニヤし始めた。





亜嵐「へぇ〜」



「……え、なんですか？」



亜嵐「まこっちゃんにトラガス開けてもらったんだ？」



「すっごく怖かったんですよ！慎優しくないから！」



亜嵐「その割には嬉しそうに見えるんだけど？」



「、うるさいですー！」





昨日開けたピアスの話で盛り上がっていると亜嵐さんの後方から近付いてくる女の人。





村崎「あ、白濱さん！果歩ちゃん！写真撮ろっ！」





甘い香水の匂いを漂わせながら高い声でやってきた彼女は、共演している村崎さん。





村崎「さっきの白濱さんと果歩ちゃんのシーン、キュンキュンしながら見てた〜！」



「ありがとうございます」



亜嵐「めちゃめちゃ緊張したんだよね、あのシーン」



村崎「うんうん、そうなんだ〜。まぁ、果歩ちゃん可愛すぎるしね〜」





少し嫌味っぽく聞こえたのはきっと気の所為じゃない。



村崎さんは私と亜嵐さんより後に撮影場に来て、その頃から亜嵐さんには結構ベッタリくっついている。



もちろん一方的に。



もう慣れっこではあるんだけど、少し自己中気味の彼女に私たちは2人でウンザリしていた。





.

45th Love→←43rd Love

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す