魔を統べる者は死神に恋をした【オリジナル】 (ページ6)

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五つ目の魂ページ6

最も注目すべきは、彼の魔力だ。

地底で力を蓄え続けた魔力が身体から滲み出て、瘴気に近い何かが彼から発せられている。魔界で暮らして長い私は、その気に当てられても少し肌がピリピリする程度だが……。

力など久しく使わず、じめじめとした洞窟で腐っている私じゃ、敵いそうもないな。

そう自嘲気味な事を考えていると、彼が立ち上がった。

さて、何を言われるのか。魔界の住人なのだから、きっと横暴に違いない。

そう考えたが、私は早速予想を裏切られた。

まずルシフェルが取った行動は……うやうやしく一礼することだったのだ。

「君が死神、か。会えて光栄だよ、かつての最高神殿。

あまり悪魔の側に着いてくれる気は無いようだが、突然の召喚に応じてくれて感謝する。我々魔界の一同を代表して、礼を言おう」

言葉の裏が時折見え隠れする……それでもかなり丁寧な物言いに、私は内心驚きを隠せなかった。

が、驚いたとはいえ私は(少なくとも私からすれば)至って冷静で、即座に言葉を返す。

「……最高神、と私を呼ぶのはあまり好みません。以後はやめて下さい、かつての大天使様。

さて、今まで私を疎んできた魔界の方……それも、魔を統べる貴方が呼んだと言う事は、よっぽどの用なのでしょう。

用件は、なんですか？」

尋ねると、彼はいかにも嘘っぽい笑顔で言う。

「失礼した。お互い、昔話はしない事にしよう。

用件は、という事だが……」

そこでルシフェルは言葉を切り、勿体ぶるように一呼吸置いてから、言った。

「我々と共にーー

ーー天界を、征服してみないか？」