四つ目の魂 ページ5
壁に書かれた血文字に導かれ、階段を登って角を曲がり、廊下を進んでまた戻って。
金が大量に使われたこの城は黄金に輝いている筈なのに、空の色やどんよりした空気、そして悪趣味な飾りのせいでかなり不気味な物となっていた。
根っからの魔界住人は、きっと不気味だなんて間違っても思わないのだろう。
そんな事を考えていると、何の前触れも無く目の前に扉が現れた。
そう、つい先ほどまで長い長い、先の見えない廊下を歩いていた筈なのに、だ。
瞬間移動でもしたのだろうか。よくわからないが、ここは悪魔の城。何が起きても可笑しく無いのかもしれない。
そう思い直した私は、扉を押した。すると、ほんの少し力を入れるだけでいとも簡単に扉が開く。
扉の間に身体を滑り込ませて中へ入り、そして後ろ手に扉を閉めた。
振り向いて閉めるのは、背中を王に見せる行為であり不敬だからだ。
暗い部屋。あまり奥が見えないが、城のどのフロアとも違う禍々しい空気が、ここが王の部屋である事を示していた。
とその時、突然天井のシャンデリアに、ぼうっと紫色の炎が灯った。途端に部屋は不気味な色で照らされ、初めて部屋の主の姿を視認する。まあ、距離があるせいでぼんやりとではあるが。
「ルシフェル……」
そんな私の呟きは、思いの外部屋の中で響いた。
部屋の奥、玉座の様に豪奢な椅子に腰掛けている、青年の姿。
少し遠いのではっきりはわからないが、まあ青年と呼ぶべき容姿だ。
……そう考えていると、またもや城に入った時と同じく突風に背中を押さた。普通なら吹き飛ばされる筈なのになぜか身体はふわりと浮かび、立った状態のまま超高速で男の座る玉座の前に辿り着く。
その時初めて、彼の顔をはっきりと見た。
綺麗な金髪と、真っ赤な目。少し珍しい髪と目の組み合わせかもしれないな、と思った。やはり堕ちると、誰も彼も赤目になるものなのだろうか。
ルシフェル……明けの明星の名に劣らぬ美しい金髪が、嫌に眩しかった。私の銀髪はすっかりくすんでただの白髪になったというのに、なぜ彼はその輝きを失っていないのか。
ほんの一瞬疑問が頭を掠めたが、無視した。
だが、容姿はこの際どうでもいいのかもしれない。
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まいまい(プロフ) - 死神流行らした作者さんって誰か気になる… (2014年9月16日 0時) (レス) id: 01921c7bcf (このIDを非表示/違反報告)
メーア=シュネー@独領《小型戦艦海雪》(プロフ) - ルシフェル……もったいぶらなくてもw (2014年9月11日 7時) (レス) id: dcebb3bde5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨神朔夜 | 作者ホームページ:http://mypage.syosetu.com/394178/
作成日時:2014年9月4日 23時