一つ目の魂 ページ2
地獄に朝は無い。いや、あるのかもしれないが、延々と続くどす黒い血の様な色に染められた空から、時間を知る事など出来はしないのだ。
だがしかし、そんな空間に身を置けば適応しようとするのは皆同じ。ここに住んで長い私は、今日もまたなんとなくそれっぽい時間に起き上がった。
私の家は、洞窟だ。だから当然快適な寝具も無く首が少し痛む。
が、生前の罪を只々償うため地獄の業火に文字通り身を焼き続ける人々に比べれば、私はかなりマシだと言える。
眠い目をこすって洞窟の外を見に行くと、やはりあの毒々しい空が目に入った。遠くに見えるコウモリの様な飛行物体が見えるが……恐らく、悪魔の類だろうか。
思いっきりのびをして目を覚ました。傍にあった大鎌を手に取り、はぁ、と重々しい溜息をつい吐く。
この血のこびり付いた禍々しい鎌が、かつては黄金の輝きを放っていたなどと、誰が想像出来るだろうか。
私を裏切った憎たらしい顔を一瞬思い浮かべ、すぐさま首を振ってそれを掻き消した。
別に、今の暮らしに不満があるわけじゃないんだ。今日も早いとこ仕事に行こうじゃないか。
そう言い聞かせて、真っ赤な空の下へ足を踏み出した。
身につけている黒く古びたローブから血の匂いがした気がしたが、あまり気にはとめなかった。
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まいまい(プロフ) - 死神流行らした作者さんって誰か気になる… (2014年9月16日 0時) (レス) id: 01921c7bcf (このIDを非表示/違反報告)
メーア=シュネー@独領《小型戦艦海雪》(プロフ) - ルシフェル……もったいぶらなくてもw (2014年9月11日 7時) (レス) id: dcebb3bde5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨神朔夜 | 作者ホームページ:http://mypage.syosetu.com/394178/
作成日時:2014年9月4日 23時