なな。 ページ10
……
………ちゃ…
お……ん…
…お兄ちゃん!
『!レナか。どうした?』
ボーッとしていて、全く妹の呼ぶ声に気づかなかった。
「ボール遊び飽きちゃった!お菓子食べたい!」
『よし、一緒に買いに行くか』
「わーい!」
つくづく俺って妹に甘いよなあ。
────
『絶対お兄ちゃんの手を離すなよ?』
「わかってるよ!」
近くの駄菓子屋。店番のおばちゃん。
まだ暑い、秋の始め。
『あ、ごめん。ちょっと靴紐結ぶから』
パッと手を離した。
よし。レナ、お菓子決まったか?
────レナ?
おい。どこ行ったんだ?
かくれんぼか?
ねぇ、おばちゃん。
レナ、妹、知らない?
レナは、どこ?
───────
────
『レナ……?』
「妹さんは……の、……に…ィ…さ…」
なに?聞こえないよ。もっとはっきり言ってよ。
「残念ながら……………」
レナはどうしてこんな……、
──────
────
ねぇ、母さん?
どうして体が浮いてるの?
首に何を、巻いてるの?
────
───────
「っはは!オラ、もう喋んなくなっちまったぞ!」
「叩いてでも起こせよ!ギャハハハ!」
………。
「それにしてもお前ほんと男かよ?」
「実は売りにしてんだろ?」
…………。
「何とか言えよ」
……す………
「あ?」
「つーかホント似てるよな。あの4年前のさ」
「あーあのガキだろ?泣きじゃくってお兄ちゃんお兄ちゃんって叫んでた!マジうけた」
殺す…………
「ハハハ!やってみろよ!」
「満身創痍の肉便器に何ができんだよ!」
殺してやる…!
───────
「お兄ちゃん…なんでレナの手を離したの?」
違うんだ…
「お兄ちゃんのせいで、レナ、死んじゃったよ?」
ごめん……ごめんな…
「私のかわいいレナを…守ってあげてねって…言ったじゃない」
母さん…ごめん、ほんとに、
「嘘つき」
俺は……、俺は、
「死んじゃえ」
「「A」」
───────
─────
───
「…、A!A!!」
『!』
ハァハァと、荒い呼吸と溢れてとまらない涙のコラボで目が覚める。
定期的にくる、昔の、夢。
「A、大丈夫か?また思い出したのか。」
俺を抱きしめて、背中をさすってくれる秀一さんの優しさとあたたかい人肌に、ドス黒く渦巻いた闇のようなものが消えていく。
今日は休もうかな、学校。
─────情報屋の隠された、闇。
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猫好き - ちゃーいるさん» コメ返しありがとうございます。これからも頑張って下さい!!(^○^) (2019年5月3日 10時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃーいる(プロフ) - 猫好きさん» ありがとうございます(^O^) (2019年3月6日 17時) (レス) id: 9d46b47ea3 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 最高 神 天才!! でも見て恥ずかしくて顔真っ赤になりましたww (2018年12月16日 18時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - アアアアアアアアアアアアアア(悶\(^^)/ (2018年11月20日 1時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃーいる(プロフ) - 美咲さん» ありがとうございます!ダラダラ更新ですがよろしくお願いします! (2018年6月14日 22時) (レス) id: 9d46b47ea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤咲 | 作成日時:2018年5月24日 1時