ママ ページ42
「ぐ、ぎぃあ！？」
脳天を刺し貫く激痛に頭を仰け反らせて悲鳴を上げる。
ズタズタの人形の上に倒れ込んだ銀色混じりの赤髪の主は丘へ挙げられた魚の様に、体をびくびくと痙攣させ呻き絶叫する。
「い"、た"いぃぃぃいいい"……！」
べそべそと襲い来る痛みに涙を流してノロイはのたうち回った。
拙い口調で痛い痛いと泣き叫ぶ姿を死柄木は興味の欠片も示さず、また、黒霧も助けようとはしない。
『その様子だと、君の個性が負けたのかノロイ』
「ぜん、せ、え、痛ぃ……痛いよぉ」
『ふむ……やっぱり気になるな。個性も両親両方の物を受け継いで発現させた双子の兄とも違った、突然変異種の様だね？』
「痛いぃい、せん、せえ、痛いよぉいたいいたい……っ」
『ああ、ノロイ、君の個性は反動が強い物だったね。黒霧、鎮痛剤を射ってやってくれないか、できれば強力なものを』
"母親"の事を思い出す前に、と先生の行った言葉はノロイに届く事は無い。
光る画面越しからの言葉に黒霧は素直に従い、自身の個性で距離を詰め鎮静剤を一瞬でノロイの首元に打ち込んだ。
ごとりと全身が脱力しノロイは痛みすら遠のいても苦悶に歪む唇を戦慄かせる。
「どうし、てぇ……マ……マ、」
母を呼ぶ、苦しげな喘ぎに乗せられた吐息はいったい、誰の情景を宿していたのだろう。
一滴、涙が零れた。
「……どうやら、ノロイはまだ彼女を諦めていないようですね」
意識を完全に失ったノロイをその場に横たえると黒霧が言葉を発した。
『うん、そうだね。まあ、確かにノロイの言う通りだ、彼女程ある意味で利己的なヒーロー志望も珍しい。貴重なくらいだよ。まさにヴィランの卵』
「引き込めたなら、いい戦力に成ってくれそうですね？死柄木弔」
「はぁ？」
唐突に話を振られた死柄木が怪訝そうな声を上げる。手の平から覗く目は不快そうに歪んでいた。
『どうかな、弔？きっと君のしたい事の役に立つと思うよ』
先生にまでそう言われてしまうと、気だるげながら一応は思案するらしくガリガリと首の皮に爪を立てる。
「……ガキは嫌いだ」
『なんだ、弔も案外嫌ってないじゃないか』
「は？今の聞いて何でそう思うわけ？」
理解できないとばかりに溜息を吐いて死柄木はそう言った。
『そうかそうか、丁度いいじゃないか！黒霧、彼女も"候補"だ。リストに加えておいてくれ』
先生は楽しげにそう笑った。
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ミロリン(プロフ) - 砂羅 零さん» 誤字報告痛み入ります！早速修正させて頂きました、ご丁寧にわざわざご指摘下さり本当にありがとうございます！ (2017年8月16日 19時) (
レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
砂羅 零 - 拘束が高速になってます。 (2017年8月10日 18時) (レス) id: 7297fcdd76 (このIDを非表示/違反報告)
ミロリン(プロフ) - 柚子さん» とても嬉しいお言葉です！ご声援を励みにこれからも頑張って更新していきますね！コメントありがとうございます！ (2017年5月17日 20時) (レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 凄く面白かったです！更新頑張ってください！ (2017年4月17日 22時) (レス) id: 4584690b17 (このIDを非表示/違反報告)
ミロリン(プロフ) - ユキさん» ご指摘ありがとうございます！でも、それは一応わざとなんです、ややこしくてすいません！ (2017年4月11日 7時) (レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミロリン | 作成日時：2015年5月11日 22時
