深層心理の救済 ページ37
私は、何を望んだの。
私は、誰を求めたの。
私は、何故泣いていたの。
私は、私は、私は……。
ぼんやりとした意識が泥に微睡んだ様に動かない。真っ暗闇にポツリと私の意識だけが取り残されていて、何も考えられなかった。
「ここは……」
見渡す限りの黒、黒、黒。
そこには私だけがいて、何だか酷く意識が重い。気を抜いてしまえば、今すぐにでも眠ってしまいそうな程。
『……馬鹿ね』
不意に、声がした。
その声が聞こえた瞬間に、黒い世界が変貌を遂げる。
「……ここ、は」
黒い大地、夕焼け空に黒い雲。
無性に心を掻き乱す、知っているような風景だった。
そして、振り返った場所には幼い頃の『私』がいた。真っ白いワンピースを着て、コチラを冷めた目で見つめている。
心臓が、ドクリと嫌な音を立てた。
『此処は、貴方の心象風景。私の居場所。轟Aの心。忘れられたごみ捨て場』
「私の、心……？じゃあ、貴方は、」
誰？と、呟いた質問にもう一人の私は無表情で少し、首を傾ける。
『私が"私"に誰と聞くの？本当に、馬鹿ね。全部忘れて、無かった事にしようとするからアイツに取られたのに、まだ分からないの？』
「何を、言って？」
『ええ、そうよね。忘れてしまえば楽だった。苦しい事も悲しい事も忘れてしまえば楽だったもの』
ぎしり、『私自身』の言葉に耳が軋む。
『そうやって逃げてしまった、可哀想な私』
やめて、という言葉は音にならず口の中で死んで声にはならない。
『逃げ出した癖に、中途半端に立ち止まって結局、そんなあやふやな形で生きてしまったからこうなってしまった』
頭が痛い。
『けど、』
激しい痛みは、何故か懐かしくて、そう、この痛みは『同じ』だ。
『まだ間に合う』
『思い出せる、まだ、引き返せる！』
痛みにぐしゃりと前髪を掴んで頭を押さえる。
そうだ、そうだ、この痛みは同じだｰｰｰお母さんの言葉を思い出す時と。
『思い出せ！抗って、耳を傾けろ！"私のヒーロー"に！』
忘却の場所に、帰還を告げる声が鳴り響いた。
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ミロリン(プロフ) - 砂羅 零さん» 誤字報告痛み入ります！早速修正させて頂きました、ご丁寧にわざわざご指摘下さり本当にありがとうございます！ (2017年8月16日 19時) (
レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
砂羅 零 - 拘束が高速になってます。 (2017年8月10日 18時) (レス) id: 7297fcdd76 (このIDを非表示/違反報告)
ミロリン(プロフ) - 柚子さん» とても嬉しいお言葉です！ご声援を励みにこれからも頑張って更新していきますね！コメントありがとうございます！ (2017年5月17日 20時) (レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 凄く面白かったです！更新頑張ってください！ (2017年4月17日 22時) (レス) id: 4584690b17 (このIDを非表示/違反報告)
ミロリン(プロフ) - ユキさん» ご指摘ありがとうございます！でも、それは一応わざとなんです、ややこしくてすいません！ (2017年4月11日 7時) (レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミロリン | 作成日時：2015年5月11日 22時
