偽りの崩壊は近く ページ34
青い炎は煌々と燃え上がり、少女の歪さは酷くなる。
毒々しい赤黒い瞳が、震える息を吐き舐るが如く炎がゆらゆらと姿をチラつかせた。
「おいおい、何だよあの炎！HEY！イレイザー、どういう事だよ！？」
戸惑うマイクの言葉に相澤も答えられない。
手元の資料と照らし合わせてもAのあの炎については何処にも記載されていなかった。
(だとすると……)
考えられる可能性は二つあった。
一つ目は個性の"覚醒"だ。今までAが凍らせていた個性は、兄である焦凍の様に温度を下げる事で成されていたのでは無く、あの炎に触れた物を意のままに凍てつかせていたのかもしれない。その可能性はあった。
個性とは文字通り一個たる超常である、未だ不可解な点が多い。命に宿って形を成すそれらが真にどのような姿をして、どのように周りへ影響を及ぼすのかも実は発現者たる当人ですら気付かないまま、不意に何かの切っ掛けで変質してしまう事が多々ある。
だから、個性登録の途中変更は認められているのだ。
そして二つ目、これは相澤にとってあって欲しくない可能性だがそれはーーー個性登録虚偽申請及び個性隠蔽という法に触れている可能性だ。ヒーロー志望ならば有り得る事は絶対に許されない事だった。
「……」
無言で見つめる相澤の目には不穏な光が宿っていた。
---
「ワクワクしちゃう！Aもそう言ってるよぉ！」
Aの声で、ノロイは無邪気に言い放つ。赤く濁った目を爛々と輝かせて、ぞろりと炎を両手に纏わせる。
出久を見つめる瞳はただ赤く、殺意と狂気が混ざり合ってぐちゃぐちゃだった。
(違う……)
その目が、どうしようもなく歪だった。
『私も、ヒーローに、憧れた……！！』
出久が思い出すのは、眩い光を宿していたAの色を違えた優しい瞳。
『ヒーローになりたいって、思ったのッ 』
緑谷出久は切なげで、それでも強く、叫ばれた言葉の確かだった彼女の意思に触れたのだ。
(ちがう……違う、違う！！)
ノロイはAを敵の器と言った。だがそれは、それだけは絶対に違うと出久は 確信していた。
「ねぇねぇ！どうやって殺されたいぃぃ？骨の髄まで燃やそうかぁ？心臓まで凍り付かせようかぁ？ほら、どっちか決め「違う……！」はぁ……？」
出久の声が、ノロイの言葉を遮る。
そして、ゆっくりと口が開かれる。
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ミロリン(プロフ) - 砂羅 零さん» 誤字報告痛み入ります！早速修正させて頂きました、ご丁寧にわざわざご指摘下さり本当にありがとうございます！ (2017年8月16日 19時) (
レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
砂羅 零 - 拘束が高速になってます。 (2017年8月10日 18時) (レス) id: 7297fcdd76 (このIDを非表示/違反報告)
ミロリン(プロフ) - 柚子さん» とても嬉しいお言葉です！ご声援を励みにこれからも頑張って更新していきますね！コメントありがとうございます！ (2017年5月17日 20時) (レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 凄く面白かったです！更新頑張ってください！ (2017年4月17日 22時) (レス) id: 4584690b17 (このIDを非表示/違反報告)
ミロリン(プロフ) - ユキさん» ご指摘ありがとうございます！でも、それは一応わざとなんです、ややこしくてすいません！ (2017年4月11日 7時) (レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミロリン | 作成日時：2015年5月11日 22時
