泣いていたのは ページ14
長い髪。
色が抜けた雪のように白い髪。
私が大好きで綺麗な白髪の持ち主はいつも泣いていた。
『…お母さん、泣いてるの？』
『A…大丈夫よ、何でもないわ』
そうやっていつも、苦しげに、お母さんは笑っていた。
私を安心させる為に。いつもいつも、偽った笑顔で、一番に自分を押しとどめて。
そうして。
泣いていた。
お母さんを傷つけるあいつが憎かった。
何も出来ない自分が許せなかった。
湧き上がる殺意に溺れ浸かって、ヒーローになりたいなんて大義名分を掲げて、そんな感情すらも結局はあいつから逃げる為のまがい物の正義感に過ぎなくて。
『お母さん、お母さん…』
小さい頃の私が泣いている。
場所は多分、家の庭だ。母を呼んでいるのはきっとお母さんが居なくなったあの日だからだろう。
(コレは……夢？)
そう思うのに、妙に惹き付けられて目が離せなかった。
子供の私は相変わらず泣いている。居なくなった母を呼んで、嗚咽を漏らし続けていた。
『お母さん、お母さん…』
｢…どうして、泣いてるの｣
思わず声をかけていた。
子供が涙で潤んだ目で見る。
どうしてか、湧き上がる不快感にイライラしながら再度問いかける。
｢どうして泣いてるの。泣いてる暇なんか無いの、悔しいなら、憎いなら、強くなりなさいよ…弱いから奪われるの！！弱いからあいつに逆らえないままなのに…！｣
私が弱いせいでお母さんはいなくなってしまった。
守りたいと、心の底から思える大切な人だったのに。泣くことしかしなかった、できなかった自分が憎くて悔しくて、苦しかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミロリン(プロフ) - 砂羅 零さん» 誤字報告痛み入ります！早速修正させて頂きました、ご丁寧にわざわざご指摘下さり本当にありがとうございます！ (2017年8月16日 19時) (
レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
砂羅 零 - 拘束が高速になってます。 (2017年8月10日 18時) (レス) id: 7297fcdd76 (このIDを非表示/違反報告)
ミロリン(プロフ) - 柚子さん» とても嬉しいお言葉です！ご声援を励みにこれからも頑張って更新していきますね！コメントありがとうございます！ (2017年5月17日 20時) (レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 凄く面白かったです！更新頑張ってください！ (2017年4月17日 22時) (レス) id: 4584690b17 (このIDを非表示/違反報告)
ミロリン(プロフ) - ユキさん» ご指摘ありがとうございます！でも、それは一応わざとなんです、ややこしくてすいません！ (2017年4月11日 7時) (レス) id: 65625e03e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミロリン | 作成日時：2015年5月11日 22時
