記憶の果てに【最後の日を共に】 (ページ6)

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一ノ瀬高校二年秋ページ6

教師には、鉛筆が紙の上を滑る音だけが響いていた。

開始五分程度で、回答用紙を埋め終えた俺は、手に持ったシャーペンを回しつつ、隠しもせずに欠伸をした。

監督の教師の目が鋭くなったが、気にするものか。

どうせ全部あってるし、退屈すぎるのが悪いと開き直ってやった。

『そんなんじゃダメだぞ』

八神の苦笑と声が脳裏に浮かぶ。

わかってるよ。

こんな態度だから基本的に教師には嫌われているし、大体の人に好感を持たれていない。
じゃあどうしろと？

諦めた。とは言ったが、諦めたのは滅ぶという結果が変わらないことで、最後を知ってしまったことには、納得してない。

たかが半年で割り切れるなら、もっと世渡りうまかったよ。

そこまで悲観的にはなれないけど、主人公みたいな勇敢さだって持ち合わせちゃいないんだ。

優柔不断で、中途半端な性格は「前」も「今」もかわっちゃいないらしい。

目に鮮明に焼き付いた、鮮やかな七色の空一面に広がる幾千の流星群を忘れることはないだろう。

酸素は薄くて、呼吸もままならない状態だったけど、物理的な苦しさはなかった。

でもさ、迫り来る死に恐怖しない奴なんていないだろう？

『あの日』がやって来るまであと__________