記憶の果てに【最後の日を共に】 (ページ4)

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一ノ瀬高校二年春ページ4

何もかも諦めてしまえば、幾らか楽になれるのだろうか。

そんなことを思うこの頃。

麗らかな春の陽気を感じつつ、縁起でもないことを考える俺は罰当たりかな。

なんでこんなことになってるのか、という説明は答えようがないから、割合する。

「あんな最後は認めない」

そう思っていた頃を懐かしく感じるなんて、心変わりが早すぎるかもしれないけれど仕方がないと思うほかないだろう。
だって、そう思ってしまったんだから。

だからといえ、物語のように先を知ってるという特典を使ってやろうなんて考えには至らなかった。

諦めてしまったんだろう。と俺は他人事のように感じている。
どんなことをしようが結局は終わる。
そんな無謀なゲームに取り組めるほど、俺はヒーローやってない。
むしろ、希望をなくした被害者がはまり役だ。

俺は希望を使い終えたティッシュのようにくしゃくしゃにしてゴミ箱に捨てた。

意味のない希望なんて、隅でひっそりとしているべきなんだ。
「諦めない」なんて意気地なしな俺には不可能なんだから。

ふと、空を仰ぐ。

目に浮かぶ澄んだ晴天のあおが目に染みるようで痛かった。
そのあおに溶けてしまいそうな、不安定で不確かな気分を感じていた。