12時までのシンデレラ ~Makoto~ (ページ3)

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慎「はぁ。疲れた。」

最近ありがたいことに

たくさんの仕事を頂いてから

なかなかゆっくりすることができなかった。

しかし今日は久しぶりに早く仕事が終わり

たまには事務所から歩いて帰ろうと外に出る。

たまにはこういう日もいいかもしれない。

ジリジリと鳴く蝉の声を聞きながら歩いていた

8月のこの日。

しかし天気の変わりやすい季節でもあったので

突然の大雨に遭ってしまった。

慎「朝の天気予報は今日晴れだったのになあ。」

しかし雨が止むことはなく傘も持っていない上に

雨は止むことを知らない。

せっかく早く仕事終わったのにとことんついてないなと思い

家までもう少しなので走って帰っていた途中、

慎「えっ。」

目の前で白いワンピースを身につけた

女の子が倒れるのを見た。

慎「だ、大丈夫ですか？」

僕は女の子の元へ駆け寄り声をかける。

すると、悲しそうな目でこちらを見てか弱い声で

『助けて。』

その言葉を残し女の子は意識を失ってしまった。

この子を助けなきゃ。

その一心で女の子を抱えて家まで走る。

家に着き、真っ先にバスタオルで包んで温めてあげる。

長いこと雨に打たれていたのか凍えそうなくらい冷えていた。

しばらく時間が経って、徐々に戻っていく体温。

そして、彼女は目を覚ました。

『助けてくださりありがとうございます』

慎「いえいえ。勝手に僕の家つれてきちゃってすみません。」

『助かりました。ご迷惑をかけないうちに失礼します。』

そう言い彼女は立ち上がるが

フラッと倒れてしまう。

慎「今日はここで休んでください。」

きっと雨に濡れたせいで体調を崩したのであろう。

まだ名前も知らない彼女を引き止める。

なにをやっているんだ僕は。

でもこの子を手放すことはできなかった。

『すみません。ではお言葉に甘えて。』

そう言い僕の家で落ち着くまで過ごしてもらう。

しかし、何故雨の降る中あんなところで

傘もささずに1人で立ち尽くしていたんだろう。

謎は深まるばかりだった。

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