be honest 2

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「俺、今度福岡出張あんねん」



あの日以来、す ばるくんとの距離は縮まって。

でも、会社では今まで通りに。

あの電話の通り、
「大倉くんの彼女」というポジションは、
「猫につけられた鈴」で。

私達はこれまで以上に今まで通りだった。


毎晩忠義から電話があるので、
遅い時間まで一緒にいるのは避けて。

あの電話以降は、
こちらも空気に飲まれないように注意した。

それでも時たま、
「俺の頼みが聞けへんの？」
「なんか隠し事でもあるんちゃう？」
なんて言葉が出てきて、
私は従順な猫になり下がった。


怖かった。


同期一の出世頭で、優しくて、
上司からの人望も厚い彼だから、
(先に浮気していたとしても)
もし今の関係が明るみに出たら、
非難の目に晒されるのは私達なのだろうなと。

私は仕方ないとして、
す ばるくんを巻き込みたくなかった。

私が我慢すれば大丈夫。


あの電話のことをす ばるくんに伝える勇気もなかった。

幻滅されたくない。

すみずみまで知り尽くされて、
それに従う私。



ぼんやりと焼き鳥を串から外している時だった。



「来週福岡行くんやけど、なんかある？」

「福岡？忠義のとこ？」

「おん」

「お土産は通りもんかなー、
めんべいも好きだよ？」




「Aのそういうとこがなぁ」

す ばるくんが少し呆れたように笑った。

「忠義、10月にこっち戻ってくるから、
その前の三連休に私も福岡行ってくる。
────ちゃんとしてくるから、待ってて」

2人で焼き鳥をつつく。

「お前に任せるわ」

「うん」

2人でビールを飲みながら。

ちゃんとする、って言葉は、
す ばるくんには希望になり、
私には自分を鼓舞する薬になり。

金曜日だったから。



あの夏風邪から2週間くらい過ぎていて。

「泊まってってもええ？」

私はビールを飲みながら、頷いて。

彼はそれを見て、微笑んだ。

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