氷の心64 ページ16
「君……」
「はい？」
「……いや、なんでもない」
何を言いたかったのだろうか、言葉を飲み込んで視線を逸らす鶴丸さん。
一つ息をこぼし、再度こちらに目を向けて頭を撫でられた。
「え、えっと…？」
「急に済まなかったな」
「あ、はい」
最後は先程のようににっと笑い、踵を返した。慌てたように男性も鶴丸さんの跡を追っていく。
「一体なんだったんだろーねー？」
ひょっこりと顔を出す加州さん。
「Aに惚れちまったんじゃねぇか？」
「こら、薬研」
そういう薬研さんと一期さん。
いやいや、私が惚れられるわけない。
「…とりあえず、私達も帰りましょうか」
玲香さんが声をかけ、皆が頷く。
未だに賑わっている人混みをかき分けながら、ゲート元へと向かう。
次こそは迷子にならないように、ならないように…と必死に彼らの後を追っていくものの、段々と人に巻き込まれていく。
おかしいな…。
「…！」
背の高い他の本丸の刀剣達が前を塞ぎ、また飲み込まれていく。
やばい！と思い、声を出そうとすると、ぱしっ…と手を掴まれた。
「A」
「三日月さん…」
そこには柔らかに微笑む三日月さんの姿。
「皆のところへ向かおう」
「…うん、ありがとう」
私は引かれるままに、彼の後ろを歩いていった。
「遅いわよ、二人とも」
「ははは、すまん。つい二人きりになりたくてな」
そう笑う三日月さんに感謝する。この本丸の刀剣皆は気遣いが本当に出来る。
助けられてばかりの私には、一体何が出来るだろうか。
「三日月さんの冗談はそのへんにして、皆が揃ったところで、帰りましょうか」
「おや主。俺は本気だぞ？」
そんなやり取りを言いながらゲートをくくる。
いっぽ踏み出せばそこはいつもの本丸。
そして勢いよく目の前から誰かにぶつかられる衝動。
「あらあら、良かったわね。熱いお出迎えをされて」
真っ暗な視界の中、くすくすと呑気な玲香さんの声が聞こえる。
「……鶴丸…」
そう呟けば視界が明るくなる。抱きしめていた鶴丸が離れたのだ。
「無事か？大丈夫か？」
「大丈夫大丈夫。むしろ、今さっきの鶴丸の突撃の方が危険だよ」
そう言えば、くすくすと部隊の子達が笑う。
「…そ、そうか…。…ところで……」
「どうしたの？」
「なんで三日月は腕を掴んでいるんだ？」
はぐらかすように、はっはっはと笑う三日月さん。
また段々と雲行きが怪しくなってきた気がすると思ったのは私だけじゃないはず…。
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サクラ - 読んででドキドキしてます、これからも続き頑張ってください！！ (2018年2月1日 0時) (
レス) id: 067143477a (このIDを非表示/違反報告)
雨宮(プロフ) - エビ天さん» コメントありがとうございます！超のんびり更新ですが、どうぞ、よろしくお願い致します！m(*_ _)m (2017年12月20日 15時) (レス) id: 48ef121c23 (このIDを非表示/違反報告)
エビ天 - 胸がギュンギュンします。続き楽しみにしてるので、無理せず頑張ってください！！応援してます！ (2017年12月11日 21時) (レス) id: 1626bb5d4f (このIDを非表示/違反報告)
雨宮(プロフ) - 鞠さん» コメントありがとうございます！愛読して下さっているようで、感謝しかございません。 色々と事情で更新が遅いですが、どうぞ、よろしくお願いします！^^ (2017年10月4日 18時) (レス) id: 3d2471f204 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているなら、とても光栄です。色々と事情で更新が遅く、大変ご迷惑をかけますがよろしくお願いします！ (2017年10月4日 18時) (レス) id: 3d2471f204 (このIDを非表示/違反報告)
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