氷の心49 ページ1
暖かいそれは、何なのかわからなかった。
ただ、優しく包んでくれる、穏やかなオーラが私の中に入り込んでくる。
「……A」
誰かが私の名を呼ぶ。
「A、A…っ！」
「鶴、丸…？」
ああ、そうだ。ここは現代じゃないんだ。
不安そうに私を抱きしめる鶴丸。私が彼の名を呼べば、鶴丸は私の顔を勢いよく見る。
そうして、私の精神がはっきりしているのが分かったのか、ほっとした顔を浮かべた。
「……すまない」
今にも消えそうな声で、泣き出しそうな声で、私にそう告げる。
「なんで、謝るの…」
「君が、今までどれだけ辛いか知っているのに、それを知っている俺が、君の気持ちを理解していなかった」
私は何も言えない。
ただ黙って、鶴丸を見つめる。
「それに、君の父のこともだ。嫌な思い出を思い出させてしまった」
「……私のこと嫌いになったから、怒ったの…？」
「っそんなわけないだろ！！」
いきなりの大声に、目を見開いた。
鶴丸は気にせず言葉を続ける。
「俺は嫌だったんだ。君が傷つくことが…。怪我をされることが、怖かった。いつか君を、失うんじゃないかって…。なのに、君は一人で突っ走って、俺の気持ちも知らずに…」
「心配してくれたのに…。ごめんなさい…」
鶴丸は、私の心配をしてくれた。助けにも来てくれた。私だって失いたくない人だからこそ、怒るかもしれない。
大丈夫じゃないから、心配して怒っているんだ、と。
失いたくないから、相手を大切に思うからこそ、怒りが募る。どうして一人で行くのか、どうして一人で抱え込むのか…
…どうして、助けて欲しい時に、助けてと言わないのか…
「…守りたいんだ、君を。……俺じゃだめかい？」
「鶴丸…」
私はきゅっと下唇を噛む。
「私、守られるだけなんてやだ」
「え？」
そう。嫌なんだ。私だって、もう何も失いたくない。
叔父さんや鶴丸、それに出会った本丸の皆も。
すると、唖然とした顔から一変し、ぷっと吹き出して笑い出す鶴丸。
「はははっ！…っそうだな。君はそうじゃないとな！」
「な、何の話…？」
それでもずっと笑い続ける鶴丸に、膨れ顔を浮かべる。
一旦笑い終えたのか、鶴丸が一息つくと頭に手を置いた。
「…まだこのままでいいか」
「だから、意味がわからない！」
いずれ分かるさ、とまた笑う。
これ以上聞いても教えてくれそうもないため、仕方なく諦めることにした。今はただ、なんだかこの瞬間が楽しいのだから。
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サクラ - 読んででドキドキしてます、これからも続き頑張ってください！！ (2018年2月1日 0時) (
レス) id: 067143477a (このIDを非表示/違反報告)
雨宮(プロフ) - エビ天さん» コメントありがとうございます！超のんびり更新ですが、どうぞ、よろしくお願い致します！m(*_ _)m (2017年12月20日 15時) (レス) id: 48ef121c23 (このIDを非表示/違反報告)
エビ天 - 胸がギュンギュンします。続き楽しみにしてるので、無理せず頑張ってください！！応援してます！ (2017年12月11日 21時) (レス) id: 1626bb5d4f (このIDを非表示/違反報告)
雨宮(プロフ) - 鞠さん» コメントありがとうございます！愛読して下さっているようで、感謝しかございません。 色々と事情で更新が遅いですが、どうぞ、よろしくお願いします！^^ (2017年10月4日 18時) (レス) id: 3d2471f204 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているなら、とても光栄です。色々と事情で更新が遅く、大変ご迷惑をかけますがよろしくお願いします！ (2017年10月4日 18時) (レス) id: 3d2471f204 (このIDを非表示/違反報告)
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