噂の写真(赤) ページ43
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渋「A、今ええか?」
テレビ局の廊下で偶然すばるくんとすれ違い、足を止める。
今日のすばるくんはいつもと雰囲気が違って……一体どうしたんだろう?
『もちろん、大丈夫だよ』
私はそう言うとすばるくんと一緒に廊下にあるイスに腰掛けた。
ここはスタッフさんの人通りも少なくて、他の場所にあるような賑わいはない。
渋「聞きたいことが……あるんやけど、」
『うん、どうしたの?』
何か言いづらそうにしているすばるくん。
すばるくんって結構直球なことが多かったから、こんなモゴモゴしてる彼を見るのはなんだか珍しい。
渋「あの……噂で聞いたんやけど、」
『噂?』
渋「おん……Aって手帳持ち歩いてるやろ?」
『あぁ、うん。それがどうかしたの?』
確かに私は手帳を持ち歩いてる。
こういう仕事をしてるとなんだかんだ便利だからね。
でも、なんで急に手帳の話……?
渋「……Aの手帳、」
『うん』
渋「男の写真が入ってるってほんまなん?」
『……うん?』
私の目をじっと見つめるすばるくん。
え、いや、まって。
『う、噂ってまさか……それのこと?』
渋「Aが手帳に男の写真入れてるって聞いてん」
『そんなこと誰に聞いたの!?』
渋「……ヒナ」
信ちゃんかい……
……まあ、私が手帳に "ある男の人の写真" を入れてることは事実で、それは信ちゃんも知っていること。
『……絶対に言わないでって約束したのに、』
信ちゃんに裏切られました。
許してあげません。
渋「……俺には見せてくれへんの?」
『え"!?見たいの!?』
渋「そりゃ、気になるやろ……」
『いや、ちょっと恥ずかしいと言いますか……なんと言いますか……』
渋「やましいことでもあるん?」
『そういうんじゃないよ!?……でも、さ』
渋「ほな見せてくれてもいいやんけ」
長年の付き合いなら分かります。
すばるくん、これは私が見せるまで決して引く気はありません。
『いや、でもやっぱり……』
渋「見せてや」
『う、うぅ……』
渋「なぁ、頼むわ」
『……引かない?』
渋「なんで俺が引くんや。引くわけないやろ」
『……その言葉、信じるからね?』
そして私は渋々(私が折れるしかなかったので)すばるくんに手帳を差し出した。
手帳を開いた途端、目を丸くさせるすばるくん。
目線の先には例の写真が。
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ミッキーナ - 思いきっていくぞ (2022年4月21日 16時) (レス) @page1 id: a7073e1cbf (このIDを非表示/違反報告)
あじま(プロフ) - 紗さん» コメントありがとうございます!不定期更新になってしまい本当に申し訳ないです……(;_;)これからも読んでいただけたら嬉しいです!^^ (2019年10月2日 21時) (レス) id: 9019a7eb22 (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - はじめまして!とってもおもしろくてあっという間に読みました!!続きが楽しみです!更新楽しみにしてます!^ ^ (2019年10月2日 6時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ハニーレモン - これから全て読ませていただきます。楽しみに待っています。 (2019年9月27日 1時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - ありがとうごさいます(;;)もちろん全て拝見させていただきます!!!更新頑張ってください!! (2019年9月23日 16時) (レス) id: 499224cb91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あじま | 作成日時:2019年9月6日 19時