玄鳥の段*12 ページ12
.
「_____ぐぁっ!」
血を吐きながら、ひとりの男がバタリと冷たい床に倒れこんだ。
「侵入者ですっ!」
暗い屋敷の中に響く男の声。
「亮、とっとと片付けるで」
「おんっ」
二人は依頼にあった屋敷の中に立っていた。
依頼の内容は、この屋敷に保管されているとある書物の破棄。
自分の武器を取り出すと、二人は屋敷の使用人達を睨みつける。
「何なんだっ……貴様らは……」
カチャリと鞘から刀を抜いて、使用人達は二人を睨み返した。
「ただの、始末屋や」
ふう、とすばるが一息吐くと、二人は使用人達に向かって走り出した。
「っ……うぁっ!」
すばるの短刀が、無駄の無い動きで使用人達を斬っていく。
「ふん、遅い」
くるりと着物を翻しながら、すばるは奥の部屋を目指していく。
「へっ……」
カラリと飴が口の中で転がり音を立てる。
バサリと広げられた扇の刃を使用人達に向け、亮は小さく笑った。
「行くでっ!」
ぐっと床を蹴り、亮が使用人達の間を駆け抜けていく。
「がはっ……」
使用人達の間を抜けるその瞬間に、亮の刃が彼らの体を捉えていった。
ポタリと床に零れる紅い滴を踏まない様に、亮は駆けていく。
辺りはすぐに静けさを取り戻し、すばると亮は顔を見合わせると頷いた。
「ちゃっちゃと終わらせるか」
「おん、当たり前や」
シュッと刀についた血を払い飛ばすと、二人はまた歩き出した。
228人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Keri(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても素敵な作品で大好きです。また、はじめから読み返させてもらいます。 (2016年1月28日 22時) (レス) id: 65c916d16e (このIDを非表示/違反報告)
やすばひな。 - 完結おめでとうございます。難しい時代背景やのに情景も浮かぶし、すんなり感情移入も出来る、大好きな作品です。また繰り返し読みたいと思います。 (2016年1月23日 23時) (レス) id: 31cf3cce79 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - お久しぶりです。以前8UPPERSさんの方でコメントさせていただいた者です。完結おめでとうございます!このお話もドキドキしながら読ませて頂いてました。個人的には菫の段からのお話がお気に入りです。本当に面白かったです!素敵な作品をありがとうございました! (2016年1月23日 22時) (レス) id: 16a9d30ece (このIDを非表示/違反報告)
∞りぃ∞ - こんばんは このお話めっちゃ好きです!∞uppersが好きなのでいつも楽しみにしています!更新大変かも知れませんが応援してるので頑張ってください! (2015年9月14日 22時) (レス) id: 5cc4a3dd51 (このIDを非表示/違反報告)
未優(プロフ) - ∞橙青eighter∞さん» コメントありがとうございます! 中々更新できておらず、申し訳ないです…なんとかペースを上げていけたらと思っていますので、よろしくお願いします! (2015年9月10日 22時) (レス) id: 4ec3ff7e45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2014年5月6日 20時