いい名とアンタは、笑った ページ18
．
「____へぇ、お前仲間からマックって呼ばれてたのか」
かちん、こちん、かちん、こちん。
掌の中で音を立てる懐中時計へ視線を下ろし、男____キングは青年に言った。
「せやで……仲間達しか知らん名前」
「ユウ、お前意味分かってたのか？」
“ユウ”
それは青年___マックの本当の名前だった。
「いや、知らんよ……カッコよかったからこれにしてん」
「そうか……」
パチン、と懐中時計の蓋を閉めて自身の羽織るジャケットの内ポケットへとしまい、キングは笑った。
「お前、いい言葉選んだなぁ“MAC”だなんて」
「えっ、キング意味知ってるん？」
「そりゃあそうさ、俺を誰だと思ってんだ？」
笑いを噛みしめるキングを見上げて、マックは唇を尖らせる。
「……ユウ」
「何？ キング」
「お前はお前の親を忘れるなよ？」
「……当たり前、やんか」
突然の言葉に、マックはキングを見上げていた視線を地面へと落として頷いた。
．
____あれから一体、どれ位の時間が経ったのだろう。大変な事が沢山あったけれど、案外あっさりと時間は過ぎていた。
そしてある日、キングは死んだ。
「……キング」
裏社会の人間であったキングが唯一残していったのは懐中時計だけで、なんとか警察からキングの遺体を引き取り、こうして墓を作ることしかできなかった。
「意味、やっと分かったで？」
年に一度、必ず訪れるように毎年している彼の墓は、マック以外の誰かが来ることはない。マックしか知らない、彼の寝床。
「アンタは変な人や……俺みたいな奴を、拾ってくれるなんて。ホンマ、変な人や」
キングとマックを結びつけたのは、たった一枚の三面広告。
「俺はアンタの____になれたんか……？」
ひゅう、と墓地を吹き抜けた風が消したマックの声は、今此処で眠る彼に届くのだろうか。
もうマック以外誰も知らないかもしれない“キング”という存在を、キングと名乗った1人の裏社会の人間を一体誰が、
「___俺は、アンタの“MAC”になれたんか？」
父として慕い、敬いそして彼以外の誰が、
“マック”を自分の子のように愛すだろうか。
『いい名とアンタは、笑った』
***MACという単語を一部の言語では
“息子”と訳すそうです(^^)
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れな - ありがとうございます！ (2015年3月12日 0時) (
レス) id: 7e221f6965 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - リクエストのお話ありがとうございました。お礼が遅くなりすみません。トッポを心配でするメンバーがよかったです。エースとトッポのコンビが好きなのでいつか、2人のお話もまた読めたら嬉しいです。これからも楽しみにしてます。 (2015年3月11日 22時) (レス) id: 84ad1a8f3e (このIDを非表示/違反報告)
未優(プロフ) - れなさん» リクエストありがとうございます！ひとつ目の方ですが、同様のリクエストを他の方からも頂いているのでそちらと合体させていただきます。ふたつ目の方も書かせていただきますのでよろしくお願い致します！ (2015年3月11日 21時) (レス) id: 4ec3ff7e45 (このIDを非表示/違反報告)
れな - あと、アーセナルが拉致されちゃって、皆で助けにいく的なのがみたいです！ 何度もすみません！ (2015年3月10日 0時) (レス) id: 7e221f6965 (このIDを非表示/違反報告)
れな - リクエストです！ トッポが何かしら無茶をして、怪我をしてしまって、ジャッキーが説教したらトッポが泣いちゃったっていうのがみたいです！笑 それで、ジャッキーが少し焦っちゃう的な笑 よろしくお願いします！ (2015年3月10日 0時) (レス) id: 7e221f6965 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2015年1月31日 22時
