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side takanori
「岩田くん、痛い…」
「逃げない?」
「逃げない」
本当はまだ彼女に触れていたかったけど、部屋に向かう廊下で手を離した。
「羽山さん、そこ座って」
部屋に招き入れて、その場に立ち止まる彼女を据え付けの小さなソファに座らせた。
「俺達さ、ちょっと落ち着いて話さなきゃいけない事が沢山あると思うんだけど、いい?」
「…そうね」
「最初に…
昨日はごめん」
「え…」
「あんな風にして悪かった…。
自分の気持ちだけぶつけたみたいで、さすがに反省してるよ」
そう。ちょっと後悔した。
シャワー浴びてる間に彼女は消えていた。
ただ辛い気持ちで抱かれていたのかと考えたらやはり悪い事をしたと思った。
冷蔵庫から、ミネラルウォーターのペットボトルを出して彼女にも渡す。
受け取って、そのまま両手でそれを包むようにすると、まだ緊張した面持ちの彼女は口許にだけ寂しそうな笑みを浮かべた。
「大丈夫よ…」
「俺が大丈夫じゃねーの!
気持ちが無いんじゃ、意味が無いんだよ」
「気持ちって、だって、
岩田くんはあの日の事を怒ってて…」
「ちげぇわ。仕返しだけであんな事しないから。
俺、あれから…半年前からずっと探してたんだよ。アンタの事。
なんか、忘れられなくて…。
なんだろうこの気持ちって、ずっと思ってた」
よく冷えたミネラルウォーターをひとくち口に含んで、ゴクリと飲み込んだ。
話しながら、自分の気持ちが明確になっていく。
うん。
そう、俺は…。
「昨日、会ってわかったんだ」
不思議そうに俺を見上げる彼女の前に、腰を落として片膝を着いた。
「羽山さん」
「っ!」
跪いたまま、彼女の手からペットボトルを取り上げて床に置くと、その手を俺は両手でそっと包み込んだ。
泣きそうな瞳をしている彼女を、真っ直ぐに見つめる。
「俺、アンタの事が好きなんだ」
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maki(プロフ) - アンさん» これにて終了です(´∀`) (2018年1月9日 19時) (レス) id: d39b30adb2 (このIDを非表示/違反報告)
アン(プロフ) - えっ(°▽°)終わりなん、この後、ムフフなあんな事、こんなポーズやら、なんやらって……wwまきちゃん、素敵なお話お疲れサマでした♪また、いつか素敵なお話待ってまふ (2018年1月6日 14時) (レス) id: f5712a4166 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - rikoponさん» はじめまして。コメントありがとうございます。大好きな作品だなんて、嬉しくて泣きそうです! (2017年12月28日 12時) (レス) id: d39b30adb2 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - アンさん» いつもありがとう。ライビュ満喫してきたよ! (2017年12月28日 12時) (レス) id: d39b30adb2 (このIDを非表示/違反報告)
rikopon(プロフ) - 初コメです。こんなにストーリーがドンピシャなお話なかなかなくて、すごく大好きな作品です(;_;)ここ最近ずっと更新楽しみにしてます!突然失礼しました。。 (2017年12月28日 0時) (レス) id: c6dcdeffb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:maki | 作成日時:2017年8月23日 15時