君の事がずっと 【T.I】3JSB

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撮影はあと一日を残し、夕刻にはホテルに戻った。

岩田くん達撮影隊の、イタリアでの夜は今日で終わり。打ち上げを兼ねた夕食会が開かれる事になっていた。




「一足早いけど、かんぱーい！」


グラスが軽くぶつかる音がそこかしこで響いた。



あと一晩って岩田くんは言ってたけど…。


視線を巡らせると、少し離れたところでスタッフの男性と話している彼を見つけた。

落ち感のある柔らかそうなシャツに、デニムを合わせた少しラフな格好なのに、ワインの入ったグラスを傾けて微笑む姿がさまになっていて、つい見とれてしまう。

自分から「今夜、どうするの」なんて聞きに行けるはずも無い。最後の夜に何か期待している自分が馬鹿みたい。



少し食事を取って、早く部屋に逃げ込もうと思っていたら、ガイドのレオが声をかけてきた。

人当たりの良い彼は、先輩の知人で話によると…既婚者のはずなんだけど。
…昨日のこともあって少し警戒心を持ってしまう。



「A！どう？調子は」


爽やかな笑顔で肩に手を置かれる。



「…お疲れ様。レオ。
悪いんだけど私、
親しくない人に名前で呼ばれるの好きじゃないの」

「えぇー？かわいいのに」

「羽山でおねがいします」


…。

軽い調子に溜息が出る。

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