【rd】ぐちゃぐちゃにしたい

二十七話：わかれ ページ27

あなたside




大きなチャイムの音で意識がはっきりとする

頭痛い、ぼーっとする、力が入らない、

いつのまにか寝てたみたいだ


「おはよーA」
『おはよ』


見覚えのある暗記帳を持ってベットに腰をかけている君

寝起きで君と話せるの幸せだな、


「顔色よくなってる。よく眠れたみたいだね」
『お陰様で』


心做しからだおの機嫌がいいようなニコニコしているような肌のツヤがいいような


『なんかいいことでもあった』
「…ちょっとね」


答えるまでの間
濁すなら聞かない方がいいのだろう


「帰ろっか。下校時刻だよ」


そう言って手を差し出される

隣のベッドには部室に置いてあるはずの私と君の荷物が置いてある。本当に準備がいいな君は

差し出された手を繋いだまま昇降口へ向かう

靴を履き替えるときに手が離れる

離れた手がもう一度繋がれることはない

一言も言葉を交わさずに校門に向かう


『右』
「俺左だ」


まだ一緒にいたかったな
けど、これ以上我儘を言うのは申し訳ない


『ここでお別れだね』
「うん、お別れ」


次はいつ会えるかなと思うとちょっといやになる


『やだ』
「俺も」

『明日も会いたい』
「きっと会えるよ」

『絶対じゃないとやだ』
「だいじょーぶだよ」


また濁された、君は私に何も教えてくれないね


「ばいばい」


そう言って歩き出す君に手を振る

「またね」がいいのは私の我儘

二十八話：おふろ→←二十六話：かんじょう

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す