性悪ドS花巻店長と私。【花巻貴大】

22-久々の… ページ28

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花巻さんと並んで歩く帰り道



もうすっかり日は暮れて、空にはちらほらと星が見える








(結局、今日何で私呼ばれたんだろ…？
最初は”荷物持ち要員”って言ってたけど、花巻さんが結果的に荷物持ってるし…

むしろ奢ってもらったりしちゃったし…)







『あの、花巻さん。』

「んー？」


『その…今日はありがとう、ございました。』


「は？」


言ってる意味が分からない、という感じで花巻さんは私を見下ろす




『荷物持ち要員、とか言ってましたけど今結局荷物は花巻さんが持ってくれてますし…コーヒーもご馳走になって…』




『それに、なんだか今日は楽しかったです』

今日1日を振り返ると自然と口元に笑みが広がった









「……おー」


短く答えた花巻さんはすぐに前を向いて歩き出してしまった


その耳が赤く見えたのは街灯のせい、だろうか…









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『送ってもらっちゃって、すいません…』

「いや、別に。通り道だし。」


『そう、なんですか』

「ん、じゃーな」



そう言って背を向けて歩いて行く花巻さんを見送った









自分の部屋に戻り、ふと窓の外を見るとさっきまで私たちが歩いていた道を戻っていくピンクブラウンの髪の人







『……通り道、って言ってたじゃないですか』




そう零れた言葉は静かな部屋に消える









痛い





胸が、ズキズキする







もやもやする









目を閉じれば、浮かんでくるのは花巻さんの顔でーーーー






『……なんであの人の不機嫌な顔ばっか浮かんでくるんだろ


普通笑顔でしょ』




はははっ、と掠れた笑い声が零れた









前に矢巾に聞かれた事を思い出す




ーーー「花巻さんの事好きなワケ？」









『………好き。』









ーーーーー花巻さんが、好き









そう自覚してしまった気持ちは

もう抑えられない、とでも言いたげに私の中で激しく主張し始める






暫く感じていなかったこの感情








もやもや







もやもや









『……寝よ』




もやもやから逃げるように、私は目を閉じた

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