其の参 ページ4
子狐に連れられてAが着いたのは崖近くの藤の花が咲き乱れる綺麗な森だった
?「彼奴…低級だけど無駄にしつこいんだよね。まあ彼奴は記憶力が無いから一時間くらい此処で…」
『何で』
子狐の言葉を遮ってAは言った
『何で助けたの…?助ける理由なんてないでしょう?』
?「んー…」
子狐は少し考えてこう言った
?「君が"姉貴"に似てるからかな」
『姉貴…?』
?「そー」
子狐は話しながら崖に腰かけた
?「
その神様の名前を聞いてAは少し眉を潜めた
『……桜の神様で、桜の如く華やかに咲いて桜のように儚く散った絶世の美女の神様だったかしら……』
?「そう!俺の姉貴…って言っても血は半分しか繋がってないけど。その木花咲耶姫と君そっくりなんだよね。顔も声もまるで鏡に映したみたいに」
(姉貴…って、何で妖の姉が神様なの…?)
子狐は自分の隣をポンポンと叩き、此処に座れと促している
『!?……』
Aは驚いた後に少し悩んで子狐の隣に座った
?「俺の姉貴もね【A】って言うの。木花咲耶姫ってちょっと特殊な神様でさ、普通の神様より神気は高いけど闘うより護る力に特化してるから神様の中でも貴重な存在なの。まあ本人は天然でドジっ子なんだけどね…けど、どんな神様よりも強くて優しい子だったんだよなぁ……」
『…"だった"……?』
Aは過去形に疑問を覚えたのか、子狐に聞き返した
?「うん…いなくなっちゃったんだ、俺の姉貴…」
『それって…』
?「……もう16年くらいかなぁ。急に天界に行ったと思ったらそれっきり帰ってこなくなっちゃってさ…他の神様に聞いてみたけど帰ってきたのは"彼奴はもう居ない"ってだけ。何で消えちゃったのかは解んないけど、まだ微かに気配を感じるから何処かで生きてる筈なんだ」
そう話す子狐の顔は少し悲しそうだった
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作者名:帽子神 | 作成日時:2020年6月4日 4時