其の拾弐 ページ27
身体も拭き終わり寝間着も新しいものに着替えた暫く後、獪岳がお盆を持ってやって来た
獪岳「…起きてたか？」
善逸「ん…大丈夫だよ。どうしたの？獪岳」
獪岳「……熱冷ましに効く薬草粥作ったが、食えそうか？九十九神達に毒性の無い神でも食える薬草を聞いたから害は無いと思う…が……」
ニヤニヤしてる善逸に向かって獪岳は尻尾で顔をぶっ叩いた
善逸「へぶっ！」
獪岳「顔がウゼェんだよ善逸!!」
そのせいで善逸はいじけてしまい、部屋の隅でブツブツと文句を言っていた
(……この山の神様…なのよね…？)
獪岳「ほら…あの面倒なのはほっとけ」
そう言いながら獪岳はお盆に乗った薬草粥をAに差し出した
獪岳「人間界育ったお前の味覚には少し苦いかもしれねぇが…まぁ、その…食える分だけ食えば良いし…その…あー……無理はしなくていいからな…別に……」
『……ぁ…その……あ…あり…がとう……』
Aのお礼に獪岳は顔を赤くした
善逸「どう？俺のお嫁さん可愛いでしょ？」
獪岳「あ"あ"！？別にそんなんじゃねえよ!!」
善逸「照れるな照れるな。いやねぇ〜俺嬉しいんだよ？獪岳がAの事気に入ってくれて♡」
獪岳「〜〜っ!!だから、別に…」
獪岳はﾁﾗﾘとAの方を見る。顔の火照ったAは普段以上に色気を放ち、弱った姿はとても愛らしかった
獪岳「〜〜〜っぜ…善逸のカスがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
獪岳は"にゃあああ"と言いながら部屋から走り去ってしまった
善逸「誰がカスだよ…それににゃああって…妖狐でしょ、彼奴…」
その様子を見て、Aが声をあげた
『…仲が良いのね……』
善逸「まぁ…ね。唯一の直系の兄だし、小さい頃から俺はよく獪岳の後をついていってたし…俺が"鳴神の座"から降りるって時も俺の兄貴で家臣だからって一緒に降りちゃったし…」
(あ…これが"弟"という"存在"なのね……)
Aが見た善逸の姿は、今まで見てきた善逸より少し幼く感じた
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作者名：帽子神 | 作成日時：2020年6月4日 4時
